2.この都にはいられない

花火はひとびとを魅了した

着の身着のまま森を抜け

あの都には、

あとどれくらい


暮れゆく日々は遅すぎた

終いに都は、山々に負われる

花火はひとまず夕べを照らした

何も困る必要などない

この都には、

暗がりはいらない


凄まじい光に陽は照らされた

力は力の中に消える

いつでも灯るく八百万に依る、

凄まじい光がいつでも流れれば、

続けて時間がいつでも流れる

見事に、ひとびとは流れに痺れた

機械のように勤めて働け、

刈り取れぬものは捨てておけ

だからこの都には、

ケモノがいる


凄まじい光に都は照らされた

力は力の中に消える

幸い、ひとびとは転んで無事だったが、

もはや語るべきものが残っているか

滅んだ建物、灰や欠片、何かの死骸、

そしてありきたりな言葉の残骸

――だからここには、

ケモノがいた


かろうじて日々は暮れてゆく

人々は山々の陰に眠りを得た

動物が動物のように息をすると、

ある人はケモノのことを想い出す

――もう、この都には

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