『澁澤 龍彥』について

澁澤 龍彥(1928年(昭和3年) - 1987年(昭和62年))


 日本の小説家、フランス文学者、評論家。

 しぶさわたつひこ(1928年-1987年):フランス文学を中心とした翻訳から始まり、中世から近世までのヨーロッパにはびこる歴史教科書に載らない人間の歴史を取り上げたエッセイを書いた。

 後に、興味は歴史的事実から人間の想像した事物に移り、最終的には小説を編むようになった。しかし、高岡親王航海記をものして、小説家としての地位も固まり始めた頃にガンに侵されて他界。


『東京大学ヘ』

 戦中育ちで、徴兵逃れの為に理系の道に進む。しかし理系の過程で学んだドイツ語の成績が悪く、敗戦後に英語を経てフランス語を学び、これが性に合ったらしく実力をつけてゆく。東京大学仏文科に在籍し、卒論はマルキ・ド・サド作品に関する論文だったが、当時学術的価値を認められていない題材だった為に評価は低く、研究者としての道は失われる。


『文学の道へ』

 その後、東京大学修士課程に進んだが肺結核を病み就職への道が絶たれる。1954年、白水社で最初の訳書『大跨びらき』(ジャン・コクトー)を上梓、初めて筆名「澁澤龍彦」を用いた。訳業自体は、すでに大学入学前、浪人時代に着手していたものである。


『マルキ・ド・サドを日本に紹介した人物』

 被告人澁澤龍雄(筆名・澁澤龍彦)ならびに現代思潮社社長石井恭二は、マルキ・ド・サドの『悪徳の栄え』を翻訳し、出版した。しかし、同書には性描写が含まれており、これがわいせつ物頒布等の罪に問われたものである。

 この裁判において澁澤は罰金刑を食らい、『悪徳の栄え』はわいせつと判断された箇所を削除しての出版となった。(澁澤の死後に無削除版が出版)

 その後もフランス文学の翻訳や紹介を続け、マルキ・ド・サドの著作全般、ポーリーヌ・レアージュ『O嬢の物語』などを翻訳している。近しい人々からは「フランス関連で解らない事があったら澁澤に聞け」と言われるほど堪能で、取材のためたびたびフランス旅行を行っているが、現地ではフランス語はしゃべらないというポリシーを持っていた。


『球体関節人形』

 1965年に雑誌『新婦人』にハンス・ベルメールの球体関節人形の紹介を書いた。有名な人形作家四谷シモンはこの記事を読んで衝撃を受け、球体関節人形を作りはじめた。つまり澁澤は現代の日本における球体関節人形の隆盛のきっかけの一つを作ったと言える。


『死』

 幼い頃から喉が弱く、知人の間では特徴的なかすれ声で知られていたが、近所の医師の誤診から下咽頭癌の発見が遅れたため、1986年に声帯を切除し、声を失った。

 このあと、真珠を呑んで声を失ったという見立てにもとづき、またスペインの伝説上の放蕩児ドン・ファンDon Juanのフランス語発音「ドン・ジュアン」にちなみ、「呑珠庵」と号する。


『評価』

・人間精神や文明の暗黒面に光を当てたエッセイが世間に与えた影響は大きい。小説家としても独自の世界を開く。下記の著作でエロティシズムを追究し、沼正三のSM小説『家畜人ヤプー』を絶賛した事でも知られている。

・三島由紀夫と長年深い親交があった


『作風』

・秘密結社や魔術、アウトサイダーアートなど、アンダーグラウンドな芸術・歴史に関する著作を多く発表していた。自らの名にかけたこれら著作は彼の名を国風にもじって「ドラコニア」と呼ばれ、現在でもファンが多い。

・小説は、「江戸時代の小説の主人公がネタ元である中国の古典を読んで不思議な気分を味わう」「江戸時代の人がE・T(スピルバーグの)を知っていたり、特異体質という現代のテクニカル・タームを知っていたり」というメタフィクションの構造を持つことが多い。


著作は、翻訳・エッセイ・歴史・美術評論・小説など


主な作品

・世界悪女物語

・少女コレクション序説

・夢の宇宙誌

・裸婦の中の裸婦

・妖人奇人館

・エロティシズム

・黒魔術の手帖

・快楽主義の哲学

・高丘親王航海記

・O嬢の物語(訳)

・毒薬の手帖


※ネット上で拾ってきた内容のまとめです

2017/6/21引導


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