映画『トモシビ』私ならこうする
『映画の分析』
トモシビは、3つのグループが織りなす群像劇だと感じた。
グループ1:杏子メインの、銚子南商業高校ランナーチーム
グループ2:磯崎メインの、銚子電鉄チーム
グループ3:熊ちゃんとキミエの2人
グループ1の目的は、
杏子がレースメンバーが1人足りないのでそれを探すこと
グループ2の目的は、
磯崎さんが故障した電車をレース当日までに修理すること
グループ3の目的は、
熊ちゃんが歌手になる夢をあきらめたキミエを立ち直らせること
この内メインは、グループ1とグループ2で、
グループ3はオチをつけるための"ついで"である。
【素晴らしい点】
1:グループ1・2・3の最大のピンチを同じタイミングで入れている点
・レース当日で肉離れで欠員をだしてしまう高校チーム
・徹夜で代えの部品が手に入ったのに、当日に電車が起動しない電鉄チーム
・夢をあきらめたまま電車に乗って故郷に帰ろうとするキミエと、アクセサリを渡したいのに追いつけない熊ちゃん
2:クライマックスでグループ1と3がドラマチックに交わる点
・レースの折り返し地点、電車を乗り換えて去ってしまおうとするキミエ
・タスキと共にリレーしてきた、熊ちゃんから受け取った、夢をあきらめないでというメッセージのこもったアクセサリーを杏子がキミエに届ける
【面白い(続きを観たい)と思わせるプチ仕掛けの素晴らしいところ】
グループ1
親友・ナツキと幼馴染・片瀬との三角関係で板挟みの杏子
(中盤でさらなるコメディキャラ・将棋君の追加もオイシイ!)
グループ2
見栄っぱりの社長と仕事のあいだで板挟みの磯崎さん
グループ3
存在がコメディになっている熊ちゃん
『私ならこうする』
視点が散らばりすぎだと感じる。
主演の杏子にウエイトを置いたほうがいいのではないか?と考えました。
視聴者のほとんどが杏子が主人公だと思っているハズ。
いちばん気になった点は、
『杏子が今回のレース賭ける思いの強さが理解できない(感情移入できない)』ところ。
杏子にはレースに賭ける動機は見当たらなかった。
父親が亡くなっているという情報があったことから、
銚子電鉄が、唯一、父との思い出がつまったモノなのか? という期待があったが、そういうわけでもなく。
父親の死はあまり物語にかかわってこなくて拍子抜け。
関わってきた要素といえば、『電車は人と人をつなぐトモシビ』という言葉だけ。
杏子がレースに賭ける動機が薄いせいで、勧誘も下手。
心がこもっていないし、『なんで誰も協力してくれないの?』と子供っぽく逆切れすらしている。
そもそも参加するメリットがないのに、協力してくれる生徒などいるはずもない。
しかも負けたときのデメリットの掃除も(オチのためとはいえ)語らず。
学校対電鉄の話なのに、交渉などに教師が一切かかわってこないのも違和感しかない。
テレビで中継させるレベルの話なのに、大人がサポートしてやらなくてどうする?
安っぽい恋愛心で、陸上部の部長にレースに出てもらいたがるミーハーさも不快で、
陸上部の部長が怒るのもそれは当然の話。
その後も反省してるようには感じない。
結局、自分に惚れている片瀬にのっかかって彼の口車でカバーしてもらっている。
ナツキとの三角関係のイザコザを解決したのも片瀬である。ただの便利キャラ。
以上のことから、
杏子の描写が足りないと感じたので、
上記のグループ1・2・3のなかで一番必要のないグループ3の熊ちゃんとキミエのシーンを削るべきだと考えました。
キミエ関連は邦画にありがちな主題歌の販促も関わっているから商業的に削ることはできない?
熊ちゃんのシーンも観てるぶんにはおもしろいのですが、
『電車を撮るのが好き』というのは特に話に絡んでこないので(秋葉のパーツ屋に問い合わせてもないわけだし)、
削ってしまって、杏子のキャラクターを掘り下げるシーンを追加したほうがいいと思いました。
杏子のレースに賭ける動機が足りないと感じました。
そのせいで、杏子が嫌なヤツに見えてしまうことが多かったです。
レースを頑張ることで、杏子が何を得するのか?(動機)が見えてこないのが残念でした。
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2017/5/31引導
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