オリキャラ達の過去談義ッ!その2

ほいほいほーい?

前の話の続きー此処からグロが入りまーす☆

苦手な人はUターンで背中向けてはいサヨナラー?がオススメかな、(´-ω-)ウム

ではではどうぞ( 。・_・。)っ


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暫く沈黙が降りる。


「……ッ…ッは、く……」

「!?」


いきなり彼が喉を押さえて荒く浅い呼吸をし出した。震えている手に、段々力が入り、彼の細い首を絞め上げる。

絞め上げて、爪を立てて、首や腕を掻き毟る。額から冷や汗が流れ落ち、苦しそうに息を吐く。双貌を見開き、ガタガタと身体を震わせる。


「よ、与謝野さん!?」

「ほら落ち着きな。此処にはアンタの怯える奴は居ないよ。大丈夫だから」

「ぅ、はっ……」


与謝野さんが慣れた手つきで薄雅の背中を優しくさする。

暫くして荒い息を吐き、震えていた薄雅は落ち着いた。

が、その顔は色が抜け落ちた欠落したように顔面蒼白だった。


──逃げな、いと……見付かってしまう…


見開いた双眸の奥で抑えきれない感情が渦を巻く。

植え付けられた恐怖が、身を焼くほどの憎悪が、身の内で出口を求めて暴れ回る。


──逃げなければ……そう、…………


自分は逃げる為のすべを殺す手段でしか埋められない。

異能力で人を、地を、空気を、空を、その場に存在する全てを、腐らせ使えなくする事にしか、自身の存在意義や存在意味を見い出せない。

自分はことさら不愉快な存在だと思う。他人を害す事でしか存在を示せない。意味を成せない。

だから…──


「……………………」

「え?」

「『憎悪の連鎖Chain of hatred』」


静かに呟く。その瞬間、薄雅を薄暗いオーラが包み込む。

薄雅はそのオーラを自然な動きで手の内に集めると、手始めにすぐ側に居た“敦”と呼ばれていた青年の腹を殴り飛ばす。面白いくらい、簡単に吹っ飛ばされた。多分腹は、内臓は、腐敗してのちに腐臭を撒き散らす事だろう。その痛みは計り知れないけど、薄雅おれには関係の無い事だ。


──牙を向く事でしか生きれないのなら、守れないのなら、死ぬまで道化を貫こう。


「チッ……『独歩吟客』!」


“国木田”と呼ばれていた男性が『理想』と書かれた手帖に何かを書き、現れた拳銃をこちらに向け放つ。

それから出たのは細く伸びるワイヤーだった。どうやら鉄線銃ワイヤーガンだったらしい。


「…………」

「なっ……」


飛んできたワイヤーの先を狙い、指弾を飛ばす。呆気ないほどにワイヤーは腐敗して使い物にならなくなった。


「……一つ、教えてやろうか」

「…………何をだ」

「……ッ!?」


ゆっくりとサイドテーブルに揃えてあった黒手袋を手に取り、嵌める。

邪魔臭く伸びきった白銀の髪を軽く纏めて手を離す。

こつりと靴を鳴らして、“国木田”さんの視界の前に立つ。


「俺より弱い奴に説明すんのもなんだけどさ、一応世話になったみてぇだし、そのくらいは冥土の土産に持たせるのが定石ってモンだろ?」

「……何者なんだ、貴様は…」

「名前? 単なる個体識別用の記号に興味があんのか、面白ぇ奴……虚神、虚神薄雅うつがみはくあだ」

「虚神、だと……?」


目の前の男性国木田が疑わしそうな目で俺を見てくる。まァ当たり前か、こんな名だと大抵の反応がこんな感じだ。

偽名と疑われても仕方ないが一応本名なので疑われても困る。


「ん、一応本名だし疑うのは時間と労力の無駄ってヤツだと思うけど。なァ国木田独歩さん?」

「……なぜ俺の名を知っている」

「昔聞いた事があったんだよ、思い出したのさっきだけど。ンで少し『探偵社』に興味あったんだ、自分と関係の無い場所だし」


自然な手つきで国木田の襟首を掴んで引き寄せる。流石に身長差があるので、視線を合わせるにはこうするしかなかった。


「……柳玖のヤツに、俺は言えねぇからな」

「…………俺に伝える義務は無いが?」

「まァ、な? その時はアンタの血でも使って書き記すさ、だけどな」

「……ッ!」


拳を震わせる国木田に「どうした、怖いか?」なんて訊けば「そんな訳ないだろう」と言葉が返る。

極めて矛盾した奴だと思う、目の前の此奴は。


ザリッ


「……ッと腐ってるのによく動けるな、アンタ?」

「……何でこんな事をするんですか」

「こんな事って? 俺には日常の一つだけど?」


流石には予想していなかった。腐らせたモノが平然と向かってくる、この状況は。

……まァが。

ギリギリと繰り出された半端に虎化した拳。それを黒手袋に包まれた手で受け止めるが、流石に手のひらが痛い。……当たり前だが。


「こんなのが日常……人を傷つける事が?」

「だから……日常だっつってんだろ、そうしないといけない状況に陥れられたんだから」

? 誰にです?」

「……ッんでてめぇに言わなきゃ、なん、だ、よ!」


空いていた片手で襟首を引っ掴むとそのまま地面に引き倒す。偽善者のふりにイライラする。尋問されるのは趣味じゃない、大ッ嫌いだ。


「アンタそのまま異能力消されたいか、そんなに。一般人と化したいのか?」


自分でも知らぬうちに襟首を掴んだ手に力がこもる。

頬に何か紅くて熱いものが流れてるが、多分気のせいだ。

薄雅は前髪で隠れていない方──左眼──から鮮血を流しながら“敦”に言う叫ぶ


「そんなに、俺に…をさせた上でをさせたいのか……ッ!」


これまで何人殺してきた? 指の数では到底足りない程、記憶の端にさえ残らぬ程、たくさんの人間の命を命令される言われるがままに殺してきた。

たとえ……薄雅おれが殺したくなくても、殺さなければ他の人間が殺してた筈だ。苦しむより苦しまない方が良かったと思うが、所詮それはエゴだろう。


「もう……俺に殺さ、せ…なよ…………」


視界が暗転する。病み上がりの状態で異能力を使うのは得策では無かったらしい。

ゲホッと口の中に溜まった鉄味の液体を吐き出す。

逃げなきゃいけない。そう思うのに身体は動かずそのままぐったりと“敦”の上に倒れ込む。

遠くから声がするが霞んだ意識の中では些事でしかない。


息苦しい世界の中で、俺はまた、闇の中に身を落とした。

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書きかけ小説収録集 幽谷澪埼〔Yukoku Reiki〕 @Kokurei

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