第6話 都市ヘルゼ
一枚の手紙、と言うよりは、何かを書きなぐっただけの紙切れを隠すように持ち、うな垂れる田舎娘マリー。
大部屋の壁際には高く積まれた木箱が置かれていた。
「マリーさん、何があったのか教えてくれる?」
『はい、実は……』
リーダーのゲーリックは班を2つに分けた。
食糧班とリング班だ。
食糧班は年長者のマリーさんをリーダーに、フリーダさんとカイ、フマユーンが選ばれた。本当はリリィも食糧班に入るはずだったが、本人が頑なにリング班に入りたいと言い張った。
リング班は金貨3枚を持ち、食糧班は残りの銀貨10枚を渡された。銀貨10枚でも十分な食糧が買えるので、その場では疑問に思わなかったそうだ。
食堂を回って何とか200食分の食糧を買い込み、酒場で70食分を作り、それらを大部屋に積み上げ終わったとき、偶然に、ベッドに置かれた手紙を見つけたらしい。
『領主に会いにいく。ご主人様に迷惑かけない』
手紙には、その2文だけが書かれていた。
その後、残された4人で手分けして探したが、ゲーリックたちの姿はなく……騒然となっている領主邸には近づくことが躊躇われ、ひたすら俺が戻るのを待っていたそうだ。
『奴隷が貴族である領主様に会いに行くなんて正気とは思えません! 確かに服装は貴族並だし、ご主人様のご配慮で首輪が見えないような服を着せていただいてはいるけど……』
そう言って首元を擦るマリーさん……。
早く解放してあげたいけど、もう少し待ってね。
「ゲーリック、ラグランディ、リリィ……3人の中で領主と面識があるのは?」
『存じ上げません』
『僕も分かりません』
『私もです』
『フーも知りません』
フマユーン……小学生っぽい見た目だけど、自分のことをフーって呼ぶのか。なんか、この子すごく可愛いな!
「そうか。面識がありそうな、と言ったら誰か浮かぶ?」
『『リリィ』』
全員一致か……。
確かに、あの長くて綺麗な金髪は元貴族っぽいな! 俺の目に狂いはなかった!
『話し方も偉そうだし、見た目も綺麗だし……この手紙だってリリィが書いた物だと思います!』
カイの言う通りだと思う。
この世界の識字率は分からないけど、わざわざ強い2人が居る班に入りたがったところを見ると、主犯は間違いなくリリィだな。
「貴族、か……」
『危険です! 行ってはダメです!』
「領主に会うのが危険?」
『領主様は……ご子息を魔王に殺され、ここ最近は恐ろしいくらいに荒れています……』
『食糧を買うとき、領主館の人に会いました。フーたちは追い払われました』
『そうです! 魔王討伐の準備かもしれません』
フリーダさんの情報、父の店主からか。
領主が食糧を買い集めているということは、町を挙げての息子の敵討ち? まさかね。タイミング悪く俺たちが目を付けられていなければ良いが……。
ヘルゼ、魔王、リリィ……よし。
「領主の所に行ってくる。皆はここで待ってて」
『『えっ!! 』』
「え?」
『失礼ながら……危険な場所に行くのでしたら、ご主人様ではなく私たちをお使いくださいませ』
マリーの言葉に全員が頷いている。
この子たち、既に心も奴隷になっているのか……あぁ、首輪に掛かっている精神魔法の効果か。
「いざとなったら魔法を使う。大丈夫、すぐ戻る!」
強く宣言したら、全員が折れて留守番する決意をしたようだ。
思いやりもあるし、いい子たちだなぁ。俺が信用されていないだけかもしれないが。
★☆★
既に日が落ち、カルーアの町の所々に明かりが灯され始めている。
ランタンのような実際の炎の明かりと、魔法で作られた光は全く違う。前者は風に揺らめき、影を作るのに対し、後者は影を作り出さない。物理的にどういう理由なのかは分からないが、そこがまさに魔法たる所以で面白い。
領主の館は程なくして見つかった。
最も明るく、最も大きな建物だったから。
教会風の建物の横から伸びる道を通り、正面の門へ向かう。
案の定、警備兵が2人居る。
「こんばんは。領主様に用があって来ました」
なるべくにこやかに挨拶をしたが、商人風の服装をしていたのが原因か、見下すような視線を向けられた。
『面会の予定は伺っていない。出直されよ』
「予約はありません。先程うちのリリィたちがお会いしたそうなので、その件で」
“リリィ”の名を出すと、警備兵は驚いて顔を見合わせている。リリィ様様だな! あのちびっ子に後でなのかあげようかな。
『領主様に話を通してくる。しばし待たれよ』
ちょっと対応が変わった。
『付いてくるように』
5分もしないうちに門の中へと通された。警備兵のうち背の高いお兄さんに誘導され、整えられた庭を抜け、広い玄関から館の中に入る。
さっきから危険察知には反応がない。
貴族と言う割にはそれほど豪華な屋敷ではない気がする。と言っても、俺の頭の中にある貴族のイメージが、メディチ家やハプスブルク家、ロマノフ家のような、あっちの世界を代表する名家だからかもしれない……。
カーペットの敷かれていない廊下を進み、階段を上がり……警備兵のお兄さんは、やがて1つの扉の前で立ち止まった。
『ご当主、オレンジ男爵様が直接お話になる。粗相のないように』
貴族の挨拶とか調べておくべきだったか。いや、どうせ世界が違えば挨拶も違うだろうし……社会人風に、無難にこなせばいいか。
『失礼します。客人を連れて参りました』
『あぁ、通してくれ』
『はっ!』
警備のお兄さんに目で促され、入って早々に深くお辞儀をする。顔を上げていいのか分からなかったので、しばらくお辞儀をしたままだ。早く“オモテヲアゲヨ”と言ってほしい。
長い沈黙の後、部屋に女の子の笑い声が満ちる。
『ご主人様、私を助けに来てくれたんですね!! 』
やっぱりリリィか。
思い切って顔を上げると、広い部屋で、俺を見詰める5人と目が合った。
ゲーリック、ラグランディ、リリィ……そして年配の男と女。領主とその奥さんか?
「オレンジ男爵様、夜分失礼致します。旅の商人をしておりますチバ・ハルキと申します」
『異国の貴族、いや、宮廷魔術師とお見受けする。ここでは礼儀など不要、寛いでほしい』
魔法使いくらいなら許容範囲だけど、貴族とか、裁判官とか、宮廷魔術師とか……第一印象は見た目が重要というメラビアンの法則ズバリな世界だな! でも、本当に大切なのは中身なんだぞ? 営業マンになった、俺の数少ない友人が言っていたセリフを思い出す。
「リリィ……説明してほしい」
『ご主人様、まずは私から説明させてください』
「うん、宜しく」
リーダーを任された責任感だろうか、忠犬人ゲーリックが話し始めた。
班別行動が始まるとすぐ、リリィが自分の過去を明かし、協力を申し出た。
本名はリリィ・ストロベリー、オレンジ男爵家の長男を魔王討伐に赴かせたあのストロベリー伯爵家の三女らしい。他の貴族の子女も巻き込んだ挙句に失敗した討伐の責任を取る為に、伯爵は自らの子どもを処刑することになったそうだ。
しかし、実際は命を奪うことはせず、奴隷として商人に売った。確かに、殺すより売る方が儲かるからね……それにしても、嫌悪感たっぷりの凄い世界だ……。
つまり、目の前のリリィは既に貴族の地位を剥奪され、しかも死んだことになっている……ということだそうだ。
そんなリリィが申し出た協力とは……被害に遭った他の貴族と共に、ストロベリー伯爵に復讐をすること。その為に、カルーアの領主、オレンジ男爵へ直訴に来たとのこと。
領主に捕まって、然るべき所に突き出されることを想像しなかったのだろうか。場合によっては奴隷で購入した金貨2枚より高く付くかもしれない……そう考えながら、今度はリリィの言葉に耳を傾けた。
『ご主人様に出会えたことは私の運命よ! 既に諦めていた人生、復讐だけど……きっと神様がチャンスを下さったんだわ! 復讐さえ遂げられれば私は一生涯ご主人様の物で構わない。だから……』
「自分勝手に決めて、自分勝手に行動して……罰を与えないとイケナイな!」
『罰!? 』
強張るリリィを抱きかかえ、お尻を3回ほど引っぱたく。
「よし。お尻ペンペンの刑、終了だ。それと、後で心配してくれていた仲間たちにもちゃんと謝ること、いいね?」
『は、はい……』
顔を真っ赤にしながら恥ずかしそうに俯くリリィ。気が強そうに装ったところでまだまだ可愛い13歳だ。無理をし過ぎている罰を与えないと、暴走して自分を傷つけてしまうからね。
呆然と見守っていた他の人に俺から提案を出す。
呑んでくれれば助かるが、無理なら仕方がない。どうせ今日のうちにカルーアから出て行くんだし。
「男爵様、はっきり言いますが、私は復讐を勧めませんし、その点においては協力する気もありません」
全員の表情が一瞬にして曇るのが見えた。
でも、俺には、わざわざ異世界に来て殺し合いをするつもりは毛頭ない。ぶっちゃけると、遊園地気分で来ているのに、ストレスを感じるようなことをしたら本末転倒だろう。
「ただし、失われた物を取り戻すことは出来ます」
この提案にどれほど魅力があったのかは分からないが、物事をマイナス思考で考えず、建設的な提案をした俺への評価は悪くなかったように思う。
端的に言えば、失った命は戻らないが、名誉は戻せる。カルーアの町をストロベリー伯爵の領地より繁栄させると共に、開発や迷宮探索などで名声を得ることで伯爵に対する復讐としよう、という趣旨だ。
今すぐに達成できることではないが、俺たちには魔法や知識がある。必ず達成できる自信があった。
★☆★
領主の館からの帰り道、リリィのテンションは高かった。
リアルスキップ少女なんて初めて見た。
復讐という、自らに課した重責から解放されたこと、俺のような優しい人間に尽くせることが理由だろう。後者の方は、単なる俺の妄想に過ぎないけど。
ゲーリックもラグランディも、殺し合いに巻き込まれずに済んでほっとした表情だ。
それにしても、俺の異世界での目的は何だ?
遊園地気分で通っていると、このままでは異世界に飲み込まれてしまいかねない。今一度、よく考えてみよう……。
まず、異世界でも塾を開きたい。
お金の為ではなく、自分の為に。
俺が育てた生徒が、将来有名人になってテレビに出て“今の自分があるのは先生のお陰です!”とか言ってくれるのが俺の夢。異世界にはテレビなんてないけど、魔法だってあるし、生徒たちが将来活躍する可能性は現実世界より大きいのでは?
俺は、自分が活躍するより、活躍する人を育てたいんだ。ゲームなんかでも、プレーヤーとしてガツガツやるよりは、監督やプロデューサー系を選んでやったもんだ。実は、単なる面倒くさがりという説もあるが。
それと、誰からか依頼された訳ではないが、雑貨屋さんを捜したい。
物事をねちっこく深く分析するのが俺の癖。プログラマー時代の職業病と言うより、先天的なものだ。
数学の問題を何時間も考えたり、一人二役の目隠し将棋(駒を使わない将棋)をよくやった。将棋と言っても、某将棋サイトで勝率の低い相手を狩って三段になったが、真の実力は初段程度だけどね。
そんな癖だから、考えないように抑えても無駄だった。
“異世界での時間”について深く考えたところ、得られた仮説は“あのテナント契約者が、ソフィーリア時間の基準=主人公になっている”ということ。
ただ、“雑貨屋さんが居なくなってからの空白の2ヵ月”が説明出来ない問題として残った。不動産屋は、彼女が2ヵ月近く行方不明だから、契約を解除したと言っていた。彼女が異世界にいる間に現実世界の時が止まるのなら、2ヵ月の空白は生じる訳がない。
彼女が異世界で何かをやらかして、“主人公”の資格を失った? 逆に、不動産屋か俺、または彼女の家族の何かしらの行動が、彼女の“主人公”の資格を失わせた?
自分の今の状況に照らし合わせると、これは実は凄く重要な問題だ。
もし彼女の行動が原因だとしたら、現実世界から持ち込んだ知識が原因?
ならば、コピー金貨や服なんかを持ち込んでいる俺は、既にヤバそうだ……。
一刻も早く彼女を捜し出し、原因を究明したい!
今は雑貨屋さんも、俺基準の時間になっていると思うから、俺が現実世界にいる間はその行動が止まっているはずだ。
彼女の家族だって、彼女が生きていると信じて待っているに違いない。彼女は自分自身の意思で帰れないのだろうか。それとも、この世界に留まりたいのだろうか。
やはり、直接会ってみないと分からない。
俺の当面の目的はこの2つだ。
冒険者ギルドなんかも凄く興味をそそるが、そっちは安全性を確保してからだ。
生徒を呼ぶ前に出来るだけこの世界を確認する。だから、しばらくは現実世界に戻らずに、この異世界で過ごそう……。
★☆★
酒場に戻った頃には真夜中に近かった。
“時読み”は時計で言うところの23時くらいを示していた。
それでも、大部屋ではマリーたちが起きて待っていてくれた。
リリィたちを連れて入ると、泣きながら猛然と抱き付いてきた。
と言っても、マリーとフリーダはリリィに、カイはラグランディに、フマユーンはゲーリックに……俺は一人、ぽつんと部屋の隅っこで佇んでいた。
焼き餅とかないし。ご主人様の矜持とかないし。どうせ、友達少ないし。
ゲーリックとリリィが皆に事情を説明し、約束通りにちゃんと謝っていた。
結局、食糧は集まったけど、マジックリングは手に入らなかった。
金貨3枚、綺麗に帰ってきた。
「遅くなったけど、都市ヘルゼの第3外壁の中に屋敷を買ったから、そこに移動しよう」
食糧を“アイテムボックス”に収め、設置されてある“対の扉”を通ってヘルゼの家に向かう。
2階の大部屋から出てきた俺たちは、その後に食糧を食べてから部屋割をして分かれた。
7人居るのに小部屋が5つしかない。
勘違いした女子たちが、当然のように俺の居る大部屋に来たが……そういう期待は(今のところ)していないので、やんわり追い返す。
そして翌朝。
俺が目覚めたときには、既に起きだしていた皆が屋敷の中を見て回っていた。口々に賞賛してくれているが、対象は俺ではなく屋敷自体だ。
全員で朝食の準備をし、仲良く食べた。
それが普通ではないらしいけど、そんなことはどうでもいい。皆でワイワイ食べることに憧れていた俺の趣味だ。
片付け終わった後で、俺は全員に仕事を告げた。
「では、それぞれに今日の仕事を伝えます。くれぐれも勝手な行動をしないように。俺はこの家にずっと居るので、悩んだら相談に来てほしい」
ぐるっと見渡し、念を押す。
リリィとはわざと目線を合わせない。自分のことが言われていることくらい分かっているだろうし、その上で口頭注意するのは、お年頃の子が反発してしまう原因その一だからね。
「まずフリーダさん、あなたの商才を頼りたい。ヘルゼで塾を開く為には、どこかで許可を貰う必要があるのか、資格が必要なのかを調べてきてほしい。それが終わったら、部屋を改築してお風呂を作りたいから大工さんを捜して来て」
酒場で仕入れや店員で働いていた経験を生かしてもらおう。
『分かりました!』
「次、俺の知り合いの雑貨屋さん……フジサワ・リホさんを捜してほしい。手間が掛かると思うので、ラグランディとリリィ、マリーさんにお願いしたい」
もしかすると危険があるかもしれないので、戦力としてのラグランディだ。マリーさんは話しやすいから上手く情報を得てくれるだろう。
本音は、リリィがストロベリー伯爵の名前を出せば第1外壁の中にも入れるかもしれない。ラグランディやマリーさんは護衛と侍女役だ、ごめんなさい。
『ご主人様、文句ではないんだが、ですが……どうしてマリーとフリーダだけは“さん”付けなんだ? いや、なんですか?』
あれ? 何でだろう……お年頃の女性だから? そうか! 女の子慣れしていない俺は、無意識に距離を取っていたのかもしれない……。
「ラグランディ、敬語が面倒だったら普通に話してくれていいよ。あと、皆さんも、俺のことは“ハルキ”で良いからね? それで、“さん”を付けていた理由か……恥ずかしいからかな?」
何をどう勘違いされたのか、場が凍りついた感じがする。そんなのは無視して話を進める。
「ゲーリック、“マジックリング”の購入を再び貴方に任せたい。買えるだけ買って来てほしい」
この忠犬さんは、大金を任せられるだけの誠実さと実力があるからね。
『今度こそ期待に応えます!』
「最後に、フマユーンとカイの2人にお願いしたいのは、ヘルゼの町に“塾”のような物が他にあるか、あと、この町の人口や子どもの人数なんかも分かれば調べてほしい」
この2人、一緒にお風呂に入れようとしたら凄い拒絶反応を示した。お互いに同じくらいの歳だし、気があるのか? カップル誕生を期待して同一チームにしてみた。あぁ、俺にもこんな大人が身近に居たら良かったのにな……。
『フー、頑張ります』
うん、いろいろ頑張ってくれ。
俺は“アイテムボックス”からそれぞれに多めにお金を渡し、仕事に送り出した。
俺自身は何をするかというと、“アイテムボックス”で眠っている生活雑貨やらを家に設置していく作業だ。
机や椅子、テーブルなんかは少しあったが、教室を開くとなると圧倒的に足りない。
現実世界から持ち込むのが早いが、高いし、雑貨屋さんみたいにBANされるのが怖いので自重しておこう。そうなると、木製の長テーブルと長椅子を作ってもらう必要がありそうだ……。
それと、お風呂は2階の会議室を潰して作ることにしよう。
皆でキャッキャウフフと入れる広めのお風呂。それと別に、小さいのも作る。こっちは毛が抜けるあいつ専用だ……。更衣室も分けて作るようにしよう。うん、自分の家って良いね! 夢が膨らむ! 興奮する!
そんな妄想を膨らませているうちに、フリーダさんが戻ってきた。
『ご……ハルキ様。塾ですが、ヘルゼで商いを始める為には資格が必要だそうです。資格と言っても、信用が置けるかどうかと言うことらしく、冒険者ギルドか、商業ギルドのどちらかでDランク以上になれば良いそうです』
Dランク!?
意外なオチだな……塾を開く為にギルドの方を先に進めないといけないのか。
「ギルドって、商業ギルドも冒険者ギルドも両方入れるの?」
『いえ、どちらかにしか入れないそうですよ』
まじか……冒険したいんだけど、俺はどっちの世界でも、曲がりなりにも商人なんだよね。ちょっと考えるか……。
「ありがとう。あと、お風呂の件……」
大工さん繋がりということで、お風呂2つと長テーブル・長椅子を同じ所に発注することにした。こっちの単位がcmなのかinchなのか分からないので、おおよその図面と形をイラストで示して渡してもらう。どうせ現場を見に来るだろうけど。
今度は、フマユーンとカイが戻ってきた。
手を繋いで戻ってくることまでは期待していなかったが、お互い2m以内に近づこうとすらしない……やばい、逆効果だったか!?
『ハルキ様、聞いてきました。ヘルゼ全体の人口は20000人くらいだそうです。そのうち貴族が30人くらいいます。5~15歳までの子どもは、貴族も合わせると3000人くらいだそうです』
『僕も調べてきました。貴族様の居住区域に、貴族様専用の学校があります。それ以外には、算術や読み書きを教える教師が20人ほどいるそうです。ただ、個人契約のようで、店はありませんね。それと、剣術を教える道場は2つありました。冒険者を育てるというより、護身術や型中心らしいです』
別行動をしていたのか……。
「2人とも、よく調べてくれたね! でも、危ないから一緒に行動した方が良かった、かな」
俺は2人を褒めながら抱き寄せて頭を撫で撫でしてあげる。この世界では頭を撫でるのは愛情表現になっているらしい。2人とも喜んでくれた。
「休みながらで良いから、家の中を掃除してほしい」
そう言って雑巾と木桶を渡す。
可哀想だけど、共同作業をしながら友情を深めてほしいのだ。
次に、雑貨屋さん捜索隊の3人が戻ってきた。
手掛かりがあったのか、とても興奮していた……。
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