第2話 幻想世界ソフィーリア

 俺は3人の男と向き合っている。


 ホームレスと見間違えそうなほど、ボサボサな金や赤の髪、青い目……外国人か? 皮鎧をがっつり着込んだそいつらは、剣や槍、短刀を構えて俺と、俺の背後に居るユニコーンを交互に見ている。


 どんな言葉を掛ければ……。

 こんにちは? どちら様ですか? おとといきやがれ?



 数秒見つめあった後、槍を持った男が一歩足を踏み出し、俺に食って掛かってきた。

 足下の境界線を越えている……。


『おい、お前! 俺たちの獲物を横取りするってんなら、覚悟は出来てるだろうな!』


 俺が素手だったからだろう、槍男は余裕からか不敵な笑みを浮かべている。


 正直、俺は生徒を連れてどうやって逃げるかだけを考えていた。ユニコーンを助けるとか、男たちと戦うとか、そんな選択肢はなかった。


 ゲートを潜って逃げるべきか?

 でも、こいつらが追いかけてきたらどうする?

 なら、リモコンでVR空間を切り替えるべきか?


 沈黙する俺を見て何かを感じ取ったのだろう。剣を持った男が槍男を手で制し、険しい表情で俺を凝視している。


『待て……あの法衣、裁判官だ……』


 俺のグレーのスーツを裁判官の法衣だと間違えたのか?

 よし……ハッタる。


「私は、魔法使いの護衛を連れて幻獣保護区の視察に来ている。この白い奴は、私が預かる! 」


 緊張して固まる喉を酷使し、言い切った。

 後ろで生徒たちが息を飲む気配を感じる。



 重い沈黙が流れる。



『運が悪いぜ……』


 剣を鞘に戻し、肩を落として足早に去っていく男。それを追いかける槍使いと短刀使い。人質を捕れば勝てるとか、魔法で奇襲すべきだとか物騒なことを言いながら、3人は去って行った……。



「ふぅ……」


 思わず大きな溜息が出てしまった。


「先生! どういうことですか!? 」


 加藤さんが地面に座り込みつつ、剣呑な目を向けてくる。でも、それは俺が知りたいよ……。


「全く分からない。プログラム外の事象だよ……ごめん、今日の授業は振り替えにしよう」



 その時、周囲に銀色の光が弾けた。


「うわっ! 」

「きゃっ! 」


 叫び声を上げたのは中島君と林さん。


 忘れていた……まだユニコーンが居たことを。


 中島君がユニコーンに触れようとした瞬間、突然ユニコーンは光を放って……少女の姿に変わった。


 驚いた林さんは腰が抜けたみたいに倒れこんだ。


『驚かせてしまってごめんなさい……それと、裁判官の貴方、私を助けてくれてありがとう』


 ユニコーンだった少女がしゃべった。

 大丈夫、敵意は感じられない。というか、凄く可愛い。白いワンピースに神秘的な銀髪、そして金色の瞳……。


「ユニコーンさん? ここは何処なんですか? 」


 俺の質問の意味が分からないのか、首を傾げてキョトンとしている少女……。



 それから、落ち着いた生徒たちと一緒に、この少女といろいろな話をした。

 VRという最新技術を使った塾の教室のこと、突然プログラムされていないユニコーンや男たちが現れたこと……。少女は俺たちの話を信じてくれているようだった。時々、何かを納得したのか頷きながら聞いてくれている。



『なるほど、貴方たちはこのソフィーリアとは違う世界からやって来たようですね。ニホンですか……聞いたことがない国です』


「ここ、ソフィーリアという所なんですか? 」


 林さんが、少女にではなく、俺に問い質す。

 いや、そんなプログラムを組んでいないし。


「これって、ゲームや小説によくある異世界転移ってやつじゃん?」


 中島君らしい素直な発想だ。


「ちょっと待って! それって、家に帰れないってこと?」


 加藤さんがテンパっている。


「大丈夫だよ、ほら」


 俺は、背後のゲートを指差す。相変わらず塾の玄関が見えている。誰も居ない受付……それでも安心感と説得力は十分にあった。


 どうやらユニコーン少女には、あの光り輝くゲートが見えないらしい。


『待ってください。もしかしたらもうお会いできないかもしれませんし、お礼にこれを受け取ってください』


 少女からコインを受け取る。

 重い……金貨か?


「これ、相当な価値があるのでは? 」


『はい。家が買えるくらいには……でも、もし私が奴隷商人に売られていたとしたら、金貨5枚にはなりますよ。命の恩人へのお礼としては不足かもしれませんが、受け取ってください』


 そう最高の笑顔で言われてしまったら受け取るしかない。

 少女の笑顔を、頬を赤く染めて見つめる中島君……それを不機嫌に一瞥する加藤さん。萌えるシチュエーションだ。


「ありがとう。お預かりしますね。また会えると嬉しいね」


『はいっ! またお会いできる日を楽しみにしています! 』



 そして、少女は再びユニコーンの姿になり、森の中へ走り去っていった……。

 その姿を見守った後、俺たちもゲートを潜り、教室に戻った。




 ★☆★




「先生! あの時計……」


 林さんが言いたいことはすぐに分かった。


 塾内には掛け時計が3つある。

 授業スペース(さっきの森林では樹の幹に掛けてある)に1つ、玄関に1つ、教室の奥に1つ……林さんが指差す玄関の時計は、まだ7時を指していた。


 無意識に奥の時計を見る。

 やはり7時だ。


 俺も、生徒たちもポケットからスマホを取り出す。

 19時……日付も3月7日(火)のままだ。


「もしかして夢だった? 」


 加藤さんが呟く。


「見て……」


 俺は右手に持った金貨を見せる。

 この重量感、明らかな現実だった証拠。

 その後、金貨は我先にと競う3人の手に渡り……笑顔を演出し、俺の元に戻ってきた。


「つまり……あの“ソフィーリア”という異世界に居る間は、こっちでの時間が止まっているということですか? 」


「そう、だろうね。時間が完全に止まっているのか、凄くゆっくり進んでいるのかは分からないけど、あっちに居た約30分間がこっちでの1分間にすらなっていないみたい」


 林さんの時間停止説に、俺も概ね賛成だ。


「これって、あのアニメの“精○と時の部屋”みたいな?」


 相変わらず、中島君らしい発想。


「そんな感じだと思う。まだ分からないけど……」


「じゃぁ、先生! テスト前はあそこで勉強すれば良いよね!」


「また変な奴が来るかもしれないのに……」


 加藤さんの楽観的な意見を林先輩が一蹴する。



 そもそも、またあの異世界“ソフィーリア”に行けるんだろうか……。

 ふと、ポケットからVRコントローラーを出す。


「あっ……」


「先生どうしたの? 」

「なになに?」


「101って……」


「犬? 」


「違う。さっきの森……プログラム100の森林だと思ってたけど、101って……だって、1から100までしかプログラムしてないのに……バグなのか? 」


 俺の言いたいことが伝わったらしい。


「バグだとしても、凄い発明だよ! 」


 加藤さんが興奮気味に叫ぶ。


 プログラムには自信があった。

 だけど、こんな危ない塾はダメだ。事故が起こってからでは遅いんだ。


「でも……皆を危険な目に遭わせたのは事実だね。残念だけど……塾はもう終わりだ。生徒が少ないうちに閉校するのがせめてもの……」


「先生! 親にも友達にも内緒にするから! 」


「林さん……? 」


 黙って聞いていた林さんが必死な表情で訴えかける。


「私、凄く気に入ったの! 毎日毎日学校と部活に追われて、正直辛かった! でも、今日の授業……今までの人生で1番楽しかった! 辞めないで! 毎日でも自習に来るから! 」

「先生! わたしも! 」

「俺もまた行きたい! あの子の名前聞いてないし! 」


「……まじか……う~ん……それなら……3つだけ約束してくれ」


 俺が出した条件(約束事)は3つ。

 まず、今日の出来事は誰にも言わないこと。ここに居る4人だけの秘密。それと、“ソフィーリア”内では勝手な行動を取らないこと。最後の1つは……。




「はっきり言おう、勉強不足だ! 」


 改めて行った小テスト。

 何点! 何点? 何点だぁ!?

 中島君が60点、加藤さんが40点、林さんが75点。


 集中力がぷっつんしていたとは言え、基礎レベルでこの点数はいただけない。その後、少し時間をオーバーした21時までみっちり勉強をさせて3人を帰宅させた。授業の内容ではないのが悲しいけど、3人とも大興奮で、笑顔で帰って行った。


 異世界で過ごした30分間で、俺たちの距離は凄く縮まっていた。既に何でも言い合えるような関係にまでなっていた。




 その後、俺は徹底的にプログラムを見直した。


 “ゲート101”についてのプログラムは存在しなかった。

 しかし、リモコンには確かに“ゲート101”があった。


 恐る恐る起動させてみると、やはりあの森に行けた。

 ユニコーンも少女も、男たちも居なかった。


 森の中に生えている草を抜いてみる。

 通常だと触れることさえ不可能な草は、触れることができただけでなく、毟り取ることすら出来た……やはりこの空間はプログラム外の場所だ。


 今度は、床にある境界線のそばまで近づく。

 戻れなくなるかもしれないという不安を、好奇心と勇気で払拭し、さらなる一歩を踏み出す。

 越えた……明らかに、5mの境界線を越えて7m付近まで行けた。さすがにそれ以上は怖い。暴れる心臓に鞭打って再び教室に戻る。


 次は……そのまま、リモコンを使って別のパターンに切り替える。

 1の万里の長城、2のストーンヘンジ、3のナイアガラの滝、4のヴェネツィア……95の富士山、96の屋久島、97の知床、98の大草原、99の海中、100の森林。全てのパターンが問題なく機能した。勿論、草は毟り取れないし、境界線も越えられず、壁に突撃する結果となった。


 因みに、101の森の境界線から外に居る状態で、リモコンを使って別のパターンに切り替えるという実験は行っていない。

 想定される結果は3通り。まず、何も起きない、つまり動作不能。この可能性が最も高い。次に、境界線内に移動した状態で切り替わる。最後に、建物外に放り出される……一応、ここは2Fだから死ぬことはないだろうけど、痛いのは嫌だ。だから、敢えてこの実験だけはしない……。


 最後にもう1つの検証。

 “ゲート101”を起動し、森の中でスマホを使う。

 教室のWifiも入るし、普通に電波も大丈夫だ。インターネットも問題なく使えるし、メール送受信も出来た。因みに、境界線を越えた場所でも同様に使用できたのは大きい。

 そして、表示される時刻……23:35か。普通に時間が経過している。体感通りに5分間が過ぎるのを確認し、検証を終えることにした。そして……VRをOFFにした途端、スマホの時計は23:30に戻っている。教室の時計も全て同じ時刻だ。

 つまり、“ゲート101”=“異世界ソフィーリア”にいる間は、現実世界の時間が経過していないことが、スマホでも改めて確認できた。


 そして、疲労困憊した身体を引き摺るように自宅に戻る。

 俺の家は塾から車で12分の距離。悲しいかな、独り暮らしだ。


 明日は3月8日(水)。授業は組まれていない。

 でも、午前中からやるべきことがたくさんある。

 疲れた……早く寝よう。




 ★☆★




 朝8時に起床した俺は、昨日の記憶を呼び覚ます。

 例の金貨を改めて握り締める。

 ずしりと重い……。

 やはり夢ではなかった!



 まずは、この金貨がどういう物かを調べないと。


 直径は4.5cm、重さは110gだ。

 描かれた古代ローマ風の神官のようなモチーフ、刻まれたヒエルグリフのような文字。傷は少なく、しっかりとした光沢がある。

 ネットで検索しても同様の物は存在しなかった。


 価値はどの程度だろうか。ユニコーンの少女……ユニ子と呼ぶかな。ユニ子は家を買えるだけの価値があると言っていた気がする。純金か?

 ネットで金の相場を調べると、純金(24K)1gが4623円もすることが分かった。110gなら、ざっと50万円だ。現代日本で家が買える金額ではないが、コレクション的な価値が認められれば値段は跳ね上がるかもしれない。




 午前10時、近所で最も大きな質屋に来た。

 ここにはX線分析装置があるらしい。金貨が純金かどうかを調べてもらい、見積もりもお願いするつもりだ。売る気はさらさらないけどね!


 質屋のオジサンが、ルーペでじっくり眺めた後、手触りや重さを調べている。


『刻印がありませんね。これはどちらで?』


「外国へ旅行した友人から買い取りました」


 想定していた質問に、真顔で返す。


『そうですか……純度を調べますので少々お待ちください』


「はい、お願いします」


 これも想定通り。

 すり替え対策で画像は撮ってあるけど、まぁ大丈夫だろう。


 5分もせずにおじさんが戻ってきた。


『24Kですね。本日の相場で49万9872円になりますが、買取をご希望しますか?』


 価格はほぼ想定内だった。

 俺は鼻から手放す気がなかったので、丁寧に断って質屋を出た。




 続いて、テナントを契約した不動産屋に来た。


「こんにちは。例の物件のことでお伺いしたいことが……」


 運良く担当者を捕まえることが出来て、根掘り葉掘り質問攻めにした。


 それによると、前の借主(雑貨屋さん)は、2ヶ月ほど前に突然夜逃げをしたそうだ。それも、店舗内の商品をそのまま残して。困った大家さんが不動産屋と相談し、テナントの原状回復を行ったらしい。壁紙はせめて張り替えてほしかった。


 待て……夜逃げではなく、異世界に行ったのでは?

 あり得ないことではない。

 “ゲート101”はそもそもプログラム外だ。何かをきっかけにあの場所で起きる事象だとしたら……雑貨屋さんは、まだ“ソフィーリア”に居るのかもしれない。


 頼み込む必要もなく、雑貨屋さんの個人情報も教えてもらえた。コンプライアンスとか、大丈夫なのだろうか……非常に心配だ。


 雑貨屋さん、意外なことに女性だった。

 藤沢 理穂さん、32歳。近所のマンションで家族と一緒に住んでいたらしい。マンションの住所も聞いたけど、押しかけるのは辞めておこう。




 自宅に戻った俺は、大急ぎで着替え、コンビニ弁当を3つ買って出勤した。


 そして……猛烈な集中力でプログラムを組み始めた。




 ★☆★




「先生! 来ちゃった! 」


 加藤さんだ。

 林さんも……それに、中島君も一緒に居る。

 学校帰りの制服のまま、しかも鞄も持ったまま。


「まだ16時だよね……部活は? 」


「「休みました! 」」


 おいおい……。


 今日は授業がないし、丁度良いか。

 塾長としてあるまじき行為だけど、電話を転送にしたまま、教室をclosed状態にして授業スペースに移動する。


 3人は興奮冷めやらずという感じでついてくる。


「座って」


 VRは起動していない。

 机と椅子を向き合わせ、俺が調べ上げたことを報告していく。


 まずは、“ゲート101”における検証実験。特にスマホが使えた点は、3人のリアクションが大きかった。

 次に、金貨のこと。時価相場で50万円という事実に、生唾を飲み込む3人。中学生には使い途がないだろ!

 そして、消えた雑貨屋さん。3人は、探し出そうという意見で合致した。探偵気分なのだろうか?



「それと、面白いプログラムを作ってみた」


 俺は、リモコンを使って“ゲート101”を起動する。


 再び現れた幻想的な森林に、3人の顔に笑顔が零れる。

 無意識にユニコーンを探す……居ない。変な奴も居ない。それなら!


「注目! 」


 俺は時計が掛けてある樹に向かい、その根元を弄る。

 幹がパカッと開き、中から宝箱が現れる。

 宝箱を持ってウサギがいる切り株に戻る。

 そして、宝箱を開く……。


「「えっ!! 」」


 予想を上回る反応、ありがとう。


「あの金貨をプログラムで再現した。どう? どれが本物か分かる? 」


 本物の金貨を宝箱の中に入れ、かき混ぜる。宝箱の中には同種の金貨が5枚存在している。


「全く分からない……」

「凄い、先生って本当に凄い! 天才です! 」

「先生……これ、通貨偽造罪では……」


「大きさや光沢だけでなく、密度から重さを設定した。でもね、融点や組成を調べられたらボロが出そう。こっちの“ソフィーリア”でしか再現できないプログラムだから、通貨偽造に該当しないと信じたい」


「そっか……そうですよね」


 林さんの突っ込みにかなり動揺したけど、何とか理解してもらえた様子。


「それで、この金貨を使うの? 」

「先生、大金持ちじゃん! 」


「もっと面白いことを見せてあげる」


 そう言うと、俺はVRをOFFにした。


「「えっ! どういうこと!」」


 宝箱は消えたが、教室の机の上には金貨が5枚置かれたままだった。


「この“ゲート101”にもプログラムを組み込めた。切り株や時計、ウサギの椅子を見れば分かるよね? 100の森林とリンクしているみたいだし。そして、“ゲート101”で所持出来るものは、現実世界にも持っていける。金貨だけじゃなく、その辺の草なんかもね!」


 3人の開いた口が塞がらない。

 ここで造った金貨を現実で換金することで巨万の富を築ける、それに気付いたようだ。でも、それこそNG……倫理の欠片もない行為だ。


「先生……1枚ください!」


 案の定、そう来たか。


「当然、却下だ」


「……」


「こんなお金の稼ぎ方は自分の身を滅ぼすだけ。楽して儲けようなんて考えない方が良いよ」


 先物取引で楽して儲けた自分が言うのもおこがましいが、お金は苦労して稼がないとありがたみがなくなるからね。金遣いも荒くなって何かと宜しくない。まぁ、換金は最終手段として考えてはいるけど……。



「それでだ。先生は探検しようと思う。人が居るということは、町があるはずだからね。雑貨屋さんを探す目的もあるけど、“ソフィーリア”という世界をもっと知りたいという好奇心の方が強い」


「私も行きたいです!」

「俺も!」

「勿論、わたしも!」


「危険かもしれないけど?」


「先生が居るし!」

「俺、金属バット持ってきた!」

「大丈夫……」


「このゲートはこっちの世界の人には見えないみたいだけど、この境界線内に入らないと戻れなくなるからね?」


「「はい!」」



 実は、生徒たちが来る前に俺は1人で森の出口付近まで行ってみた。


 まず、魔物の類は居なかった。幻獣が住む特別な場所だからか、運良く遭遇しなかっただけか、そもそも魔物が現れるようなファンタジー世界ではないからか。でも、あの男たちの装備を見てしまうと、“ソフィーリア”が日本より安全な世界だとは考えられない。


 そして、森を出た所から見渡せる景色……その中に、町があった。正確に言えば、城壁しか見えなかったんだけど、街道を行き交う人々や馬車を見る限り、町だろう。そして、城壁の存在がさらに“ソフィーリア”の危険度を表していた。高さ5m、四方を囲む城壁……魔物か戦争の存在を匂わせていた。




 森を歩くこと1時間……スーツと制服を着た怪しげな4人組は、森を抜け、町を望める場所まで到達していた。


「町……ですね」

「超ファンタジー!」

「今さらだけど、お腹が空いた……」


 さすがに疲れた様子の林さんに対し、中島君はノリノリだ。加藤さんの一言で、俺もコンビニ弁当を食べ損なったことを思い出した。夢中で篭っていたからなぁ。


「お金はある……町で何か食べる?」


「「賛成!」」


 本当は、食中毒やら何やら危ないんだろうけど……。



 それから歩くこと30分、とうとう町の門までやって来た。

 すれ違う人々からは好奇の目で見られている気がする。でも、一応は言葉が通じるようだし、髪や瞳の色が違うだけで普通の人間のようだし、自然体でいこう!


 さぁ、どうなることやら!

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