side,B

 ジャバウォックに襲われていたあいつを見た瞬間、今までにない怒りを感じた。

 そう思った時には、剣を振りかざしていた。


 ジャバウォックが息絶えてから、振り返るとリョウが泣いているのが見えた。

 怖かったのだろう、身体がガタガタと震えている。


 そんなリョウを見ていたら、自然と抱きしめていた。

 もう大丈夫だ、という風に力を込める。すると、リョウの方からも抱きしめ返してきた。


 リョウに対して『愛おしい』という感情が沸いた。異性なら分かるが、同性に対してそう思うなんて初めてだった。


 しばらくすると、リョウがもう大丈夫ですと言いながら離れていく。なぜだか無性に寂しさを感じる。ずっと抱きしめていたい、そう思ったら顔から火が出そうだった。



 ふとリョウを見ると、同じく顔を紅潮させている。

 ドクンと心臓が鳴る。


(……くそっ、可愛いな)




 ―――あぁ、俺はこいつが好きなのかもしれない

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