なんてことだ、生のBLが見えないなんて。

 そもそもなぜ私となんだよ。そこはシーダさんとだろうが!


 段々とバルドに対し腹が立ってくる。助けてくれて感謝はしているが、コレはシーダさんとのを見たいんだよぅ……。

 私なんかが当事者になっちゃだめなんだよ!



 だってだってだって……私は《腐女子》なのだから!!!!!

 閉じていた目を、カッと見開く。


 ふぅっと一息ついて、回していた腕を下す。

「バルドさん、助けてくれてありがとうございます」

 そう言って、離れてくださいというように腕を突っぱねた。


 私が言葉を発した瞬間、バルドもハッとして離れた。

 やれやれと思いながら、ふと彼の顔を見ると真っ赤になっている。耳まで赤い。


(―――えっ……)

 ちょ、ちょっと何であんたが顔を赤くしているのよ……?

 や、やめてよ。私まで伝染して再び頬に赤みが指す。

 いつものバルドじゃない様子に困惑した。なんだか、またその場が変な雰囲気に包まれる。


「……か、帰りましょう……」

 甘い雰囲気に耐えられず、そう言うだけでいっぱいだった。




 こうして私たちはそこから一言も発せず戻った。

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