わんわんと泣く私。ふいに自分より太い腕にぎゅっと抱きしめられた。


(……あったかい……)

 安堵でため息と一緒に瞳を閉じる。自然と自分からも広く逞しい背中を抱きしめ返した。


 彼の胸に頬を寄せ、心臓の上に耳をつける。ドクンドクンと響く心音がまるで子守歌のように聞こえ、とても心地よい。


 抱きついて改めて感じた、バルドの体が思った通りがっしりしていることを。肩幅が広く、胸板も厚い。


 そう思うと激しく自分の心臓が鼓動し始める。ドカンドカンと段々大きくなっていく。


(―――VRの太鼓の達人をやっているようだなぁ……)


 そんな馬鹿なことを考えた瞬間、ハッとした。


 ……てか、この状況なんだ?


 自分はバルドに抱きしめられている……?自覚するととてつもなく恥ずかしくなってきた。というか私も何を抱きしめ返しているのだろうか。


(ひぇ~。ど、どうしよう//////////)

 顔がゆでだこのように熱くなる。いい雰囲気なので少し困惑もしてきた。



 しばらくの間、どうしようどうしようと思っていたが……

(――あ、これ傍から見たら男同士が抱きしめあっているんだよね?ということは……リアルBLではないかっ!!!!!!)



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