バルド編~完結~ ①

 死を覚悟したリョウは一向に衝撃が来ないことに戸惑った。


 恐る恐る瞑っていた目を開けると、目の前に大きな背中が見えた。


 見覚えのあるその背中はバルドだった。彼は自前の剣を突進してきたジャバウォックに突き立てている。


(──かっこいい……)


 はい、バルド選手にトキメキポイント入りましたーーーーー!!!!!


 あ、ごめんなさい。こんなこと言ってる場合ではないのは承知してます。

 でも仕方がありません。だって、この状況についてけないんだもん!(´;ω;`)


 さっきまで死亡フラグ出てましたよね?それがいきなり謎フラグに変わってるんですが。




 ていうか私生きてる……今になって実感してきた。そう思うとともに、両目から涙がはらはらと流れる。


「おいっ、大丈夫か?」

 放心状態の私にバルドが声をかけた。なんだか聞いたことない動揺したような声色で、私のそばに来て肩を捉まれた。


 瞬間、バルドに抱き着き赤ん坊のように泣いた。


「うわーーーん!こ、怖かった…」








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