あれからバルドを観察してみたが、あんな柔らかな笑顔をしている所は見ない。たまに、幻でも見たのかと思う程、相変わらず無愛想である。


 BL本とかとは違う、リアルな俺様はかなりめんどくさい。いや、自分が関わらなければ 全然良いのだが、あれやこれと文句が多いし怒るとめちゃくちゃ怖い……。


 今日も、みんなは美味しいと言ってくれたのに、味付けが濃いなどと朝食にダメ出しをくらい、絶賛モヤモヤ中である。


(文句言うなら自分で作れっつーの!!!)

 置いてもらっている身で絶対に言えないセリフを心の中で叫ぶ。

 それがどうやら外へと出てしまったようで、洗っていたお皿を割ってしまった。


 ガチャンと音を立てて落下する食器。やってしまった──。

 その音を聞きつけ、シーダさんが顔を出す。

「大丈夫か?」と心配された。今回は怪我がない為、声をかけられただけだった。


 気を取り戻そうと、自分に喝を入れる。

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