④
連れて来られたのは、恐らくレストラン的なところだった。
(そういえば、ここの世界の料理を食べたことないな。どんなのかな〜)
店内は活気づいており、食欲を唆る匂いが私の鼻をかすめる。
爆笑されるほどのお腹の音をならせていた私は、ゴクリと大量の唾を飲み込む。
席に着いて店員さんが持ってきたメニューを見ると、こちらの文字で色々と書かれていた。ところが、ワタクシこちらの文字が読めない。そう、耳はここの世界の言葉が聞こえ私も会話が出来るのだが、文字だけは見ても全く理解が出来なかったのである。もちろん、平仮名でもなく、何とか分かる英語でも無い。向こうの世界では見たことない文字だった。その事が、分かったのは私がバルド達の所へ連れてこられ、どこから来たのか問われ分からないと言った後に見せられた地図を見た時だった。
大陸が描かれており、沢山の文字で国の名前や地名が書かれているその地図。私の目には、描かれている大陸の絵しか理解出来なかったのである。その時は分からないの一点張りで通したが、さて今はどうするか。
バルドは自分の目の前にいる男の様子を眺めていた。
ものすごい真剣な表情でメニューを見ている。それを見たバルドはこう思った。
(そんな顔で悩む程、腹が減っていたのか)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます