すると、金髪の人の方がフッと後ろを向いた。

「ん?リョウじゃないか」

 やはりシーダさんである。隣にいた赤い髪の男も振り向く。

「…お前、何でこんな時間にいる?」

 不遜な態度なバルドだった。


 眼福だ、と思いながら自分がここにいる理由を話す。

「すみません。色々片付けをしていたら、こんな時間になってしまいました」

 申し訳なさそうな感じを装いながら、顔には出さずに心の中でガッツポーズする。

「そうか、ご苦労だったな」

 優しい声で気遣う言葉を述べるシーダさんに対し、まるで邪魔だ、と言わんばかりの表情なバルド。私はハッとなる。なんてこった、二人のイチャイチャシーンに邪魔しているではないか。

「す、すみません!すぐ出て行きます!!」

 私とした事が、折角のBLな場面に入り込んでしまった。そそくさと出て行こうとすると、、、

「構わないよ、こっちに来な」

 シーダさんが呼び止める。

「い、いえいえ俺は邪魔ですから!!!」

 力強く否定すると、今まで黙っていたバルドがため息をこぼしながら一言。

「……いいから入れ」

「は、はい…」

 私は蛇に睨まれた蛙のように大人しく従った。

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