第4話 腐女子降臨

 あ、そういえば自己紹介遅れました、私は田宮涼子と申します。性別は、れっきとした女です、今は訳あって何故か男になってますが。

 ──どうしよう、涼子……じゃおかしいよね

 まあ、誤魔化すしかないか。どうせ本名知ってる人いないし、と私は自分に言い聞かせ彼に名前を告げた。

「……り、涼です」

「リョウ……変な名前だな」

 ──な、なんて失礼な奴だ!

 本名でもある涼子から一文字取った名前に、彼はこともなさげに変な名前だと言い放ったのだ。


「まあ、いい。それよりお前どこから来た?」

 この質問は非常に厄介だ。さて、どうしたものか……。日本です、なんて通用しないだろうし。そう思った私はさっきと同じ答えを告げた。

「わ、分かりません…」

「分からないってどういう事だ。自分がどこから来たのか分からないのか?」

「……はい」

 ───あえて言うなら、分からないのはここが何処なのか…だが。

 なんて言えるわけがなく、私はシラを切った。


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