③
「お前、何者だ。どこから来た?その珍妙な服はなんだ?」
彼は続けざまに問い出してきた。そんな彼に私は、ようやく自分の立場を理解し、なんと答えるか頭の中で考える。が、自分ですらこの状況を把握出来ていないのに答えなんか出せるわけがない。そもそもここは何処なのだろうか、日本ではないことは確かだが。
「おい、聞いてるのか?!」
答えない私に彼は痺れを切らしたようだ。声が更に鋭くなっていく。焦った私はとりあえず、こう答えた。
「…わ、分かりません」
「なんだと…?」
返ってきた答えが曖昧だった為、彼の声色に段々と苛立ちが孕んできた。
───うそは言ってません!!!
怒気が含んできた声に私はびくつきながら、心の中で反論する。恐ろしく声に出せなかった。
「……名前は?」
「へ……?」
突然質問を変えてきた彼に、頓狂な声を出した。
「お前の名だ」
さて、また困った質問だぞ。なぜなら、自分は本当は女だが、今の容姿は男なのだから。
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