②
自分はまるでテレビでも見ているのだろうか。アイドルというより、俳優の様なイケメンに私は頭の中でそんな事を考えてしまう。
「…なんだこいつは?」
彼から発せられた低い低音ボイスに、私は更なる衝撃を受けた。
──なんて事だ、声までイケボではないか!
「山ん中でヤツに襲われていたのを助け出したが、変な格好をしていたもんで、連れてきました」
私がもはや関係ない事を考えている間に、そんなやり取りがされていた。
「たしかに、妙な格好をしているな…」
彼が話す度に低音ボイスに堪能している私を、彼は警戒するような鋭い目つきで上から下まで目線を映した。
「おい、お前」
全く話を聞いていない私に、彼は鋭い声で話しかけてきた。
「……え?」
ぼうっとしていた私は、話しかけられたことに一瞬気づかなく反応が遅れた。そんな私に構わず彼は喋り出した。
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