何故だろう、何故こうなったのだろうか…。


 眼前に鋭い剣を突き出され、屈強な男達に囲まれている。近くには獣の亡骸もある。

──これ、死亡フラグ…というよりむしろ、死亡する…

 今まで生きてきた中で、刃物を向けられた経験が無い私は、恐怖で慄いていた。そもそも何故こうなったかというと、今から数分前に遡る。


 泉から更に歩いていた私は、突然熊の様なもの、とにかく大きい獣に出くわした。もちろん、生きてきた中で熊に襲われたことなど一度も無い。あまりの大きさに、恐怖で固まるしかできなかった。

 ───あ、今度こそホントに死ぬ!!

 そう思った時だった。


 突然、矢が熊もどきの頭を貫いた。そして、ゆっくりと横に倒れていく、その様を私は目を見開いたまま、瞬きせずに凝視していた。


 一体何が起きたのか、もう自分の頭では考えられなかった。

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