私の耳に、川のせせらぎと魚の飛び跳ねる音が聞こえ、爽やかな風が頬を撫でた。次第に意識が戻ってきて、閉じていた瞼を開けていく。


───……ん…朝…?てかここどこ…?


 未だ覚醒していない脳で考え、ハッとする。そうだ、自分は見知らぬ世界に来ている事を思い出した。昨夜、焼き魚を食べてから、疲れのせいか爆睡してしまったようだ。


 起きてみても変わらぬ現実に、これが夢ならどんなに良かったか、と嘆く。


「…生きてる……」


 そういえば野宿なんてした事なかった私は、そう呟いた。


 その後、朝食代わりの焼き魚を、また1匹食し今日こそは人間を見つけたい、と活を入れ歩き出した。



 しばらく川を下ると、大きな泉に出た。川と同様に透明で透き通っていた。


「うわぁ、なんか天然のプールみたい!」


 手を差し入れてみると、冷たくて気持ちがいい。考えたら、お風呂に入っていないので、身体が急にムズムズしてきた。周りを見渡すと、人っ子一人いない。


───…よしっ。誰もいないし入っちゃえ!


 すぐさま洋服を脱ぎ、全裸で泉に飛び込む。

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