③
地面に置きっぱなしにしておくと、だんだんと弱っていき、しばらく経つとピクリとも動かなくなった。
次は食べる為の準備に取り掛かる。まずは火起こしだ。持参したリュックの中を漁ると、まつ毛用のライターを見つけた。周辺の枯葉などを集め、以前、テレビでやっていた、サバイバル番組を思い出し、火をつけてみる。すると、少しずつ火が付いていく。しばらく経つと、ぱちぱちと音をたてながら、真っ赤な炎が顔を出す。
何故だろう、火を見ていると落ち着くのは…。やりきった感満載で、ほっと一息ついた。途端、ぐぅっとお腹がなる。
───あ。そうだ、私お腹すいてたんだ…
ようやく目的を思い出した私は、リュックからカッターを取り出し、さっき採った魚を慣れた手つきで内蔵やらを取り除く。こう見えて、料理は得意な私である。何故カッターを持っていたかというと、仕事へ行く前だったので仕事道具を持っていたからだ。その中に、カッターがあった。
───ふふん。アラサーなめんなよ
なんて事を考えながら、準備していく。そして、内臓物を取り除いた魚に木の棒を刺し、こうこうと燃える火の中に入れ炙る。すると、空腹感が増す香ばしい香りが私を包み込んだ。早く食べたい気持ちを抑え、いい感じになるまで炙り続ける。
そして、良い焦げ色が付いたところで、火から出した。
「美味しそう」
新鮮な川魚の食欲をそそる匂いに、口の中のよだれが止まらなくなり、ごくっと思わず音が鳴るほど唾を飲み込んだ。
「…では。いただきます!」
ガブッと真ん中からかぶりついた。途端、口の中に香ばしい匂いが溢れ出し、魚の身もしっかりと脂がのっていて、非常に美味だった。
「お、美味しい!!」
あっとゆう間に1匹を完食してしまった。大きくもなく小さくもない、至って普通の大きさだけど、中の身がびっしりと詰まっていたので1匹でも大満足である。
そうすると今度は、眠気が襲ってきた。確かに、いつもはしない肉体労働をしたおかげで身体はとても疲れている。
私は火の近くでごろ寝をすると、すぐに眠りについた。
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