駆け足で抜けると、川辺にでた。喉がカラカラに渇いていた私はすぐさま川に近づく。川は淀みなどなく、底が見えるほどの透明感だった。思わず、ごくっと唾を飲んだ。


───なんか、飲めそう……だよね


 恐る恐る、川の水をすくい、口へ運ぶと喉の渇きが潤い、すぐにがぶがぶと飲み始めた。水を美味しいと感じたことが無かったが、飲むのが止まらない。この世でこんなに美味しいものがあったかのように。


 喉の乾きを潤した私は、ふっと一息ついた。すると今度は、身体の疲れを感じるようになった。考えてみると、見知らぬ所に一人ぼっちで訳もわからず、更に苦手な虫だらけで、心身共に疲労がピークを達していた。


 近くにあった大きめな石に腰をかける。


「疲れた……お腹すいた……」


 朝食をとってから何も食べていないので、空腹感を感じて、自分のリュックの中に何か無いか探してみる。だが、ガムや飴すら無く絶望した。


 このままでは見知らぬ所で餓死してしまうと、恐怖感を感じ自分に喝を入れ、食べ物を探す事にした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る