③
ひたすら歩くと、先に森が見えた。草原に森なんて、大自然にもほどがある、と若干緑に飽きてきていた。本来ならば、きっと「癒される~」なんて言っているだろうが、歩き疲れで足は痛いし、お腹もすいてきて、気分は最悪であった。
「……森って……100%虫いるじゃん‼」
だが、周りを見渡しても草原か森の二択しかなかった。
───歩く方向間違えたかも…
この世で一番虫が嫌いな私は、泣きたい気持ちに駆られた。というか、おそらく泣きわめくかもしれない。だが、進むしか道がないので、大きな深呼吸をして、足を
前へ出す。
恐る恐る森の中を進む私に、絶望的な瞬間が訪れた。あまり周りを見ないようにしていたが、ちらっと木が目に入った。そこには、見たこともないような色をした、毛虫もどきがいた。それも何匹も。
「ぎゃーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
泣き叫びながら、全力疾走で走り抜けた。ひたすら走り続けた私は、息を切らしながら、ゆっくりと低速していく。ふと、いつもより体が軽いような気がした。普段なら、もっと息切れしていて体が重く感じるが、なぜだか少し疲れている程度だった。そう考えながら、周りを見ると先ほどより少し開けた所に出た。
自分の呼吸音だけが響く中、耳に微かなせせらぎの音が聞こえてきた。
───水の音……?
走ったせいか急速に水分を体が欲し、音を頼りに歩くスピードが少し速くなる。水音がだんだんと近くなり、目の先に川らしきものが見えた。
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