第3話~未知へ~
紫色に淡々と輝く太陽は、現在地が地球では無いと言うことを示していた。
新手の惑星だろうか、俺がこの地に居ても生きて居られると言うことは他の生物がここで住むことが可能と言うことだ。
地球の他にも生物が住める星があった等とは聞いたこともない。
こんな所に留まっていてはいけないので、立ち上がり辺りを見渡す。
今俺は草原に立っていた。 遠くには森が見え、草が生え茂る陸と空は緑と青の二色で構成されていた。
腐敗した地球では一生見れないであろう平和な光景だった。
「うっ...」
背後に呻き声が聞こえた。 振り返って見ると北斗が居た。 何故こんな所に。
「やあ、北斗」
「......っ! 奴らは如何した!?」
俺の顔を見るなり、北斗は周りを警戒して立ち上がったが、周りを見てすぐ唖然とした。 俺も奴ら、部屋に侵入して来た人達の事を思い出したが、先程の光景を見た後だからか、心は平穏を保って居た。
「如何やら、此処には居ないようだな。 気づいたら此処に居た」
「何故こんな所に...? そもそも此処は地球なのか? こんな光景は見たことがない」
「俺にもわからない。太陽を見てみろ。 少なくとも此処は地球ではないと思う」
「っ!? これ、お前の言っていた紫色の光弾と似ていないか?」
ハッとした。 そう言えば家に侵入して来た人達に撃たれ、意識を失う際に魔法を使った覚えが...
「......すまない。 北斗を巻き込んじゃったようだ」
「ん? 如何言うことだ?」
「逃げる前、魔法を使ったんだ。何を使ったかは知らないけど...」
「これは奴らの所為ではないのか...? 魔法? お前、遂に頭がイカれたか。 だからあれ程機械化するなと...」
説明をしたが、北斗は状況の整理が出来ていないようだ。 頭を傾げていた。
暫く思いに更けていると、北斗がいきなり俺の肩を掴んだ。 グイっと引っ張り俺を地面に押し付けた。 嫌な予感がする。
「はは......これは夢なんだな。 やっとお前に今までの恨みを、返せる!」
「やめっ....うがっ!」
北斗が狂った。 これはダメだ。 死ぬ予想しか出来ない。
「なーに大丈夫、夢じゃなかったら夢じゃないでお前の言ってることが本当だって証明されるだろ?」
挙句の果てにはこんな事を口走っている。逃げようにも体は押さえつけられ抵抗することができない。あぁ、オワタ。
そして
それが始まった。
「ぐわぁぁぁぁぁっ!!」
体が危険を訴える。
理不尽。
言葉を挙げるならその一言に尽きるだろう。 全身の神経と言う神経が千切られる感覚が続いている。
別に魔物に襲われたとか、事故が起きて馬車に轢かれたとか。 地球で言うならトラックに轢かれたとか。 そう言うものではない。
では何が起きているのかって?
いや、こう言うのも恥ずかしいんだが...
勿体ぶるな? 仕方ないな。
今、俺は!
関節技を!!
決められている!!!
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俺、気絶しすぎなんじゃないだろうか。
このストーリー始まってから3回気絶してるぞ。
ん? 読者来てる? あ、おい! 早く言えよ!
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ぐったりと倒れこむ俺と、エネルギーに満ち溢れてボディービルをしている筋肉イケメン北斗。 その顔は心なしかツヤツヤしていた。
「ゆ、夢じゃないって......これで分かっただろ......」
「はーっはっは! つまり此処は異世界なのだな!」
北斗には一通り説明をしたが、何故か異世界と言う解釈をされた。
此処は地球じゃなくて、他にも生物がいるだろうと聞いたら異世界にもなるのか...?
まぁ、兎も角この草原に長居し過ぎた。
瑠璃色に輝いていた空は今度は茜色に染まり辺りを照らしている。
周りには明かりも何もない。 必然的に野宿になってしまうのだが、残念ながら今は無一文なのだ。
そう言えば、魔法があるのだから転移系魔術で家に帰れば良いとか思ったりもしたが何故か、転移系魔術は使えなかった。
短距離転移が出来たことから現在地と転移到達地点との高度や距離など、正確なことが分からなければ転移は出来ないようだ。
そうなれば俺達が此処に来た理由が分からない。 俺の予想が外れたか、外部のものに呼ばれたか。 魔法が失敗したと言う線もあるだろう。
閑話休題
(話を戻そう)
「”サーチ"」
俺たち以外の生物が存在できると言うことは文明が出来ているはずだ。 俺はサーチの魔法を使い辺りにいる反応を求めた。
近くに20体程の反応があった。内5人は人間のようだ。ほかの15体は何だ...? 動物と呼んでよいものか。歪な雰囲気を醸し出している。狼らしき形をしてはいるものの......
この辺りの地理がわからない以上、案内役は必要であって。
本当なら見て見ぬ振りをしたかったのだが、15対5ではやはり少勢だし見捨てるのも後悔しそうだ。 最終兵器「爆弾拳」(北斗のこと)が居るから負けは絶対無い。
距離に難があるが、サーチで調べたので転移の条件がそろった事により問題は解消。
「北斗、向こうに人がいる。 狼らしきものに襲われてるっぽいから助けにいくぞ! 転移をするからつかまれ!」
「マジか! 分かった!」
北斗が俺の腕を握る。
バキッと骨が鳴る音が響く。
「いってええええ! 北斗! 腕! 腕!」
「あ! ごめん」
北斗が腕を握り、転移を開始するところまでは良かったが正直北斗の腕力をなめていた。 つかまれた腕の骨という骨が木端微塵に砕かれた。
「ヒール!」
腕を回復。5秒はかかった。改めて転移しようと思い、魔法の準備をする。
「北斗、もう一回つかまれ。 今度はおらないでな?」
北斗が腕をがっちりホールドしたのを確認。準備は万端だ。狼らしき生物に襲われている人間の近くへ......
「転移っ!」
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