第4話~救助~
俺と北斗は15匹の狼らしき動物に襲われている人達を助けに転移した。
途中北斗に腕を折られたりもしたが、まぁ無事転移できた訳だから良しとしよう。
現場を見てみると、そこには狼らしき動物が人々を襲っていた。かなり表現が曖昧だがこの狼、頭に二本の角が生えており明らかに地球には生息していない。とりあえず角狼と呼ぼうか。
人間の集団は三人の男性と二人の女性で構成されており、体を覆いつくさんばかりのタワーシールド、分厚い長方形の盾を持った青い髪の大男が前に立って角狼の攻撃を防いでいる。
他、槍を持った青年と小盾と剣を持った青年二人が大男の後ろから角狼を突いている。
女性二人は青年二人と大男に囲まれ小さくなっている。 女性の一人は負傷をしているようでお腹から血を流していた。 もう一人の女性が包帯を巻いている。 かなり危ない状況と言っていいだろう。
「助けはいるか!?」
声をかけてみると、返事が返ってきた。
「〜〜〜〜〜っ!」
日本語ではない言葉で返事が返ってきた。 此方に祈願するように見つめられる。
よし。 助けてやろう。
「北斗! 狼達の気を引いててくれ!」
「おうよ!」
北斗が角狼の群れに突っ込みその馬鹿力で角狼を殴りだした。脳漿が炸裂しているのが見える。
俺は北斗が角狼達を引き離している間に負傷した女性の元へよった。その際、負傷していない方の女性が不安気にこちらを見てるの気づく。
「気にしないでください。北斗は強い。遅れをとることはないでしょう。それより、その人を見せてください」
ニッコリと微笑み、膝をつきながら負傷した女性に手を向ける。
手中に魔力を集中させ傷を再生する妄想。魔力が体を治す細胞を活性化させ暫くの間、高速再生をする。そうだな。リ・ヒールとでも名付けようか。
「”リ・ヒール”」
負傷した女性のお腹が光だした。もう一人の女性がこちらを睨み、腰にあるダガーに手をかけている。周りを見ると、女性だけではなくタワーシールド二人の男性もこちらをにらんでいた。
微笑みを止めずに優しく語りかける。
「安心してください。彼女は助かる」
負傷した彼女の腹から光が消える頃には、傷が完治し流血は止んでいた。
全員が驚愕した顔で此方を見る。
ほら、ごらん。とでも言いたいような顔で全員を見据えてやった。
「〜〜」
頭を下げられる。 感謝して居るのだろう。手を前に突き出し振る。謙遜の構えだ。それでも頭を下げない。 理解していないのか本当に感謝して居るのか。
恥ずかしくなったから北斗の方を見た。
狼は3匹まで数を減らし、学習したのか北斗の攻撃を避けるように保守的に動いて居る。 北斗自身も、苦戦して居るようだ。
このままじゃ埒があかない、助けるか。
追尾する炎の球を。
「フレアミサイル」
右手左手から一発ずつ発射した。
計二つの炎の球が掌へ出現。 狼たちを難なく撃破する。
残り1匹になった狼は北斗が踏み込んで倒していた。
「ナイス!」
「お前もな!」
北斗と称賛しあいながら襲われていた集団と合流する。
「~~~」
集団が手を胸の前におき、此方を見ていた。タワーシールドを持った大男が謎言語を喋っている。魔法で翻訳できないだろうか。
「”トランスレーション"」
「公明なる魔法使い様でおられましたか!私めはフェルト王国に所属する治安維持兵隊が一人、ブルート・ポトフで御座います。失礼ながら、何方の御国から...?」
おお、通じる。魔法恐るべし......
ポトフって、変な名前だな。
残忍なポトフ。
兎に角!王国があるのか......? まだ中世の時代なんだな。ここは正直に話すとしよう。
「日本なる国から来た。転移しようとしたら失敗してしまってね。フェルト王国とは、聞いたことが無いが教えてくれないか?」
そう言い、俺たちは会話に明け暮れるのだった。
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