エピローグ トウヤとユウ

「シャドウのした、すべてをなかったことにするって……だからかな、私たちが今こうして生きていられるのは」

「さぁ、どうだろうな……。確かにこの世界を、この場所を創ったのは俺たちだったわけだが、颯也に間違いを指摘され、シャドウのヤローに騙され殺され…………思い返せば、散々だったな」

「うん…………でも、それでもこうして私たち、生きてるよ」

「あぁ……生きてる」

トウヤとユウ、二人が色づいた神の国の家々のその中のひとつ屋根の下、青い空の下、茶色い地面の上で、他の神々もいるその場所で、共に今生きていることを実感していた。

「確かに、この世界は壊れゆき終わって行く世界なのかもしれねえな」

「うん…………」

「だが、今まだこの世界の調整役で、生きて、俺たちが臨んでいた普通に生活をするってことができているってことは…………まだ、きちんと見守っていかなきゃいけねえよな、ちゃんと皆が生きていけるように」

「うん……見ていこう! それに、大丈夫だよ、きっと。この世界から悪は消えつつあるんだ。確かに私たちの世界でたくさんの人が死んで、それは私たちのしたことで取り返しはつかないけれど、それでもこれから先、争いは少なくなっていく。私たちの役目は、この状態を頑張って保つこと」

「あぁ、そうだな。んじゃ、さすがにこの世界も名無しのままじゃ可哀想だし、名前でもつけるか?」

「うんっ、いい! そうだね~、じゃ、この世界は失敗しつつも頑張って幸せを掴むことができそうな世界だから……チャレンってな感じでどうかな?」

「はっ……なんだそりゃ。一体どういう頭したら、そんな名前ができあがんだよ。……だけど、いいんじゃねえの? いかにも馬鹿っぽい響きだが、言い聞かせてやろうぜ、決して交わることのないほかの世界の奴に、この世界チャレンは決して、失敗して終わった世界じゃねえってことをな!」

「うん、一緒に頑張っていこう!」

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