第8話 領外の少女

あたりにいくつもの生き物が蠢いているような気配が感じられる。

獣が喉をならしているような音や、地面を踏みしめる音など、そうしたものだけが私の耳に届く。

一応、結界は何十にも張っていて、ここにいる人や動物から私が攻撃を受ける事はないとおもうけど、女の子一人で暗い森の道を明りもなしに歩くというのは、ちょっとかわいげがないかな。

それにしても……この世界の私もまた随分と私とおんなじような暮らしをしてきたのが、あの部屋から出て、この森に入ったことで分かったような気がする。

私はずっと一人で生きてきた。

それでも力があるがゆえに生きてきてしまった。多分、この人も私と同じみたい、というよりかはこれが必然なのかな。

神様がわざと二つの世界の個人の位置づけを同期させているような、そんな気もする。

そうすると、ひかるは今どこにいるのかな?

ひかるの心を覗き見しちゃったことからわかることは、彼自身の家のほんちょっとしたことだけ……。

別にみようとしていた訳じゃないけど、結果的にそうなってしまったから、これはもうしょうがないと思う、うん。

で、それで分かったことは、ひかるは自分の家が嫌いだということ。

自分の家が行っていることに理解ができなくて逃げた。親からの圧力と兄からの痛みを受けて、そして逃げたのだ。

多分、私はひかるが嫌がっていた状況に連れ込んでしまった。今、ゆっくりと考えるとそれがきちんとわかる。

だから、いち早くこの世界にいるであろうひかるに会って、話して、そして……。

そこまで考えて、そして先を急いだ。

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