断章3 新しきもの

「世界は、残酷だ」

ひそりとつぶやく声がする。

「世界は、理不尽だ」

それは再び聞こえる。

「それは、今も変わらない。何も変わらない」

男にしては澄み切った声で、聴いていて不快には思わない。

「そう、変わらない。なにも変わらないよ。私たちがここにいても、何も変わらない」

現実に対するあきらめ。

「一度作られてしまったものは、一度壊すしか方法がないんだ」

その改善案の提示。

「こちらの準備も、なんとか間に合った。あの人たちも最後の最後にあがいていたようだけど、それも無駄……」

「じゃあ、始めるぞ」

「そうね。もう歯車はすべて外れた……。後は創りかえるだけ」

そうして世界は終わり、始まっていくのだった。

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