第130話 語られる神話

11月は、愛媛も他よりは暖かいが冷える。


ロシアもそうだが寒いのは嫌いだ、冬の生まれでも特にクリスマスイブ生まれでも。


「「・・・・うおっし、百っ!!」」


桃ノ島のヘルグリム帝国大使館には訓練施設であるデーモン道場がある。

道場内にあるスライムのプールから褌一丁姿の進太郎と元気が上がる。


「・・・・・全身に来てる、筋肉痛だ。」


「・・・・俺も、立ち泳ぎ百往復は全身使うよな。」

進太郎と元気が互いにぼやく。


「そうは言うが二人とも、基礎鍛錬は大事じゃよ。」

人間態になったゴート66世が二人の前で、バイセップアップのポージング。


島に戻って来た進太郎と元気はゴート66世の指導の元、実戦続きで止まっていた

トレーニングを再開していた。


「それはわかるけど、体はきついっす。」

元気がへたれる。


「俺は、風呂に入りたい。」

進太郎も疲れていた。


ヒーローも生き物、成長の為には肉体を鍛えねばならない。


「まあ、オーバーワークはいかんからのう湯につかるか。」

ゴート66世も、今日のトレーニングを切り上げる事にする。


デーモン道場内の広い浴場。そのお湯は黒かった。


「・・・・・進ちゃん、進ちゃん、風呂のお湯がめっちゃ黒いんですけど?」

元気が体を洗おうと蛇口をひねれば黒いお湯、浴槽も黒い。


「心配するでない、本国の由緒正しい温泉を引いておる効能は保証付きじゃ♪」

ゴート66世が豪快に湯かぶりをする。


「・・・・・マジで?」

まだ信用していない元気、自分もニュータントになったとはいえ一般人の感覚は忘れてはいなかった。


「・・・・・・ああ、マジマジ。俺も入ってるから。」

頭を洗いながら答える進太郎。


「・・・・・一応、信用するわ。」

元気が疑いつつも髪や体を洗い、湯かぶりをして全員全裸で入る。


「・・・・・ふ~、風呂は良いの~♪湯上りにコーヒー牛乳を用意させるか。」

お祖父ちゃん上機嫌。


「「あ~、疲れた~~~」」

進太郎と元気が声をそろえて言う。


「・・・・・若いもんが年より臭いことを言うでない。」

ゴート66世がたしなめる。


「・・・・いやいや、この間もだけど吸血夜会どんだけ勢力あるんすかあいつら?」

元気が愚痴る。


「お祖父ちゃん知らんよ?奴ら世界規模だと言うておるが。」

ゴート66世の言葉にずっこける進太郎と元気。


「じゃが、帝国としては建国のころから吸血鬼の類は絶対許してはおけん。」

ゴート66世、真面目に切り出す。


「もしかして、建国の神話ってあれ?」

進太郎が祖父に尋ねる。


「悪魔なのに神話ってこれいかに?」

元気がツッコミのようでボケる。


「がっはっは、暇つぶしに語って聞かせよう♪

進太郎、ご先祖様に聞くのは無しじゃよ?」

自分の能力で、ご先祖様本人に聞こうとした進太郎を止めるゴート66世。


「年寄りの話は聞くもんじゃよ。」

こうして、ゴート66世が語り出した。
















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