第112話 決戦はハーレムフォーム 後編

続いてヘルグリム帝国が見つけたのは、神殿の中という場所に

不似合いな製薬工場だった。


眼下では過去に倒したのと同類の吸血鬼達から血液が抜かれて

その血が流れ作業でドリンク剤の瓶に入れられたり錠剤にされている。


・・・・ここが、吸血鬼化薬の製造場所だった。


「メイ!!フォームチェンジだ!!」

進太郎の叫びにメイが応じて、デーモンブリードメイフォームに変身。

「行くぜ、マーメイドクラ~~~~イッ!!」

デーモンブリードがパドルを床に突き当てる。


地の底から太い水柱がドンドンと湧きあがり、工場は水没した。


地底の地下水を集め、間欠泉のように噴出させて対象を破壊する必殺技。

それが、マーメイドクライだ!!


「・・・・・ようやく日の目を見ました。」

フォームチェンジを解いた後、メイは嬉し泣きをしていた。


「水の技は、中々使われないでちゅからね。」

アニーの言葉に他の面々も頷く。


地図無き道を進み、神殿のフロアを潰していくヘルグリム帝国。


RPGのダンジョンハックの如き行軍であった。


リーファフォームのドラゴンブレスで罠も雑兵も蹴散らして

最下層から上って行き、辿り着いた広間。


ヘルグリム帝国の面々がぶち開けた穴は閉じられていた。


「待っていたぞ生贄共、貴様らを我が糧にしてくれるっ!!」

待ち構えていたボス、ジャガーの怪人テぺヨロトルが吠える。


「日本のヒーロー達に追い払われたのはどいつだ!!」

デーモンブリードが言い返すと同時に、豹頭の怪人の蹴りが

デーモンブリードを吹き飛ばしていた。


吹き飛ばされたデーモンブリードをフランが受け止める。


アニーの火、メイの水、リーファのエネルギー、3種の砲弾を

テぺヨロトルは叫びで掻き消した!!


そして追い打ちで床を殴り地震を起こし、デーモンブリード達を下のフロアへと

叩き落とす。

「・・・・・・他愛もない、こんな連中に邪魔されてきたのか?」

テぺヨロトルが眼下の瓦礫を一瞥する。


だが、突如その瓦礫がしたっ!!

マグマ弾を雄叫びで粉砕しようとしたテぺヨロトルを

燃える拳が殴り飛ばす!!


テぺヨロトルが見たのは、黒山羊の仮面、龍頭の胴鎧、右肩に赤狼

の頭と赤い腕、左肩は龍魚の頭と緑の腕、下半身は紫の具足。


それは、人と魔獣が一体となったキメラの鎧を纏う戦士。


眷属の力を全て身に纏った、デーモンブリードハーレムフォームだ!!


「・・・・断罪の時間だ、デーモンファイトッ!!」

デーモンブリードが構える。


「神に逆らう、貴様らが罪人だ!!」

テぺヨロトルが叫び振動波を吐く、だがデーモンブリードの

胴から出た闇が振動波を吸いながら押し返す!!


ギリギリで避けたテぺヨロトルの頬を闇が削る。

「・・・・・人に仇なす神なら、悪魔が討つ!!」

相手の地震攻撃を、飛行で避けたデーモンブリード。


テぺヨロトルのパンチを、肩から拳にスライドさせたアニーの頭で

燃やしながら噛み砕くデーモンブリード。


悶えるテぺヨロトルを、電撃を纏った足で蹴り飛ばす。

「これで仕留める、エンブレムジャッジメントッ!!」

デーモンブリードは手から金色のエネルギーを放出し一つの図形を虚空に描く。

それは山羊の頭、ヘルグリム帝国の皇帝家の紋章。


黄金に輝く紋章を掌底で突き、テぺヨロトルへ射出する!!


エネルギーでできた紋章の直撃を受けたテぺヨロトルは、光と共に消えていった。


吸血夜会中米支部はこの日、壊滅した。




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