第109話 夜の女神に断罪を
地下鉄の更に地下を駆け下りて辿り着いたのは、日本とは別世界だった。
「ドキュメンタリーで見た石造りの部屋だな。」
マシンバイコーンを下りて
「お前は大人しく待機な。」
と命じると石造りの神殿と化した部屋を見回すデーモンブリード、部屋の中央には
血で汚れた高めの祭壇が設置されていた。
そして祭壇に黒いガスが突如噴き出すと、青白肌で貫頭衣を纏った美女が現れた。
「私の神殿に潜り込める者がいたのね?」
トラソルテオトルである、着ている貫頭衣は伝説と同じく人皮。
「貴様らはこの町で何を企む!!」
構えるデーモンブリード。
「・・・・・あら、男の気配?鎧を脱げばベッドで聞かせてあげるわよ♪」
トラソルテオトル、デーモンブリードの中身に感づいたか誘惑をしてきた。
「私の旦那様に穢れた言葉をかけないで下さい!!」
デーモンブリードの胴鎧パーツになっているリーファがキレた!!
胴体の龍頭が口を開け、強烈な氷のブレスを吐き出す!!
この時、リーファにデーモンブリードの体の主導権が奪われた。
「邪魔な鎧ね、壊して脱がせてあげる♪」
トラソルテオトルも、変な方向に欲が出たのか黒いガスを障壁にして身を守る。
「正妻として、旦那様の貞操は死守いたします!!」
リーファは激怒した、必ず淫蕩不埒なこの女を除かねばならぬと決意した。
リーファには、トラソルテオトルの考えはわからぬ。
リーファは、ドラゴンのお姫様である。
女学生として学び、趣味を愛しルチャを嗜み生きてきた。
この度最愛の夫、ヘルグリム帝国の皇太子と結ばれた。
故に、夫と自分の暮らしに害をなす邪悪に対しては人一倍敏感であった!!
トラソルテオトルが、紫色のエネルギー弾を発射して来た時
デーモンブリードの膝頭がオレンジ色のマグマのブレスを吐いて凌ぐ。
リーファフォームの八頭の龍頭、各自が異なる性質のパワーを持っていた。
双肩の龍頭がスライドし拳へと移動すると勢いよく火を噴き敵へと飛び出す!!
トラソルテオトルも予想外の一撃を腹に受け、祭壇へと叩きつけられた。
龍頭が鎧へ戻ると同時に祭壇がトラソルテオトルを巻き込んで崩れる。
トラソルテオトルが倒れたと同時に大地が揺れ、地下神殿の崩壊が始まった。
ここでようやく体の主導権がデーモンブリードに戻り
「まずいな、抜け出そう。」
マシンバイコーンに跨り脱出するデーモンブリード。
地下鉄の線路まで戻ると、抜け出した地下神殿への入り口は消えていた。
「敵は何を企んでいたのでしょう?」
合流したメイドの一人、メイが呟く。
彼らは知る由もなかった、トラソルテオトルがまだ死んでいなかった事。
地下神殿の崩壊が、彼女の主である豹頭の怪人テぺヨロトルの仕業である事も。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます