第107話 メイド無双 

ひとまずは勝利を収めたヘルグリム帝国。


三メイドはいったん人間形態に戻った。


「まずは人々の浄化と搬送だな、メイとフランは頼む。」

デーモンブリードが命じる。


フランが電気ショックで汚泥を除去し、メイが水を作って注ぎ

逃げ遅れた人達を体内から洗浄していく。


「流石に、これは不可抗力でちゅよね。」

アニーが周囲を見て呟く。


汚泥ゾンビ達はもとは犠牲者、遺体の身元確認や葬儀などが必要だが

先ほどの戦闘でそういった事ができる状態ではなくなっていた。


「どうしようもないさ、生存者優先だ。処理は対策室に投げよう。」

そういってアニーを慰めるデーモンブリード。


「悪いのは非道を行った彼の組織ですわ、私達は為すべき事を果たすまで。」

リーファもそう言って自分を納得させる。


「殿下、救助と搬送は終わった。」

フランが改札へと人々を運び終えたことを告げる。


「後は駅員の方にお任せしましょう。」

メイも言い、線路の向こうの闇を見据える。


次の一手を考えていた一行。


その時 芯棒である人間の遺体を失った汚泥が人の形を取って立ち上がった。


「殿下、リーファと先に行って。」

フランが言う。


「私達は、召喚していただければ良いのでお先に。」

メイも促す。


その言葉に従い、リーファをお姫様抱っこ状態でマシンバイコーンを

駆って先へ進むデーモンブリード。


「さて、久しぶりに本気を出しますか。」

メイが怖い笑顔になる。


「ヒロインからモンスターになる時。」

フランも目が病む。


「蹂躙の時間でちゅ♪」

アニーの言葉に合わせて、三人は丸薬を飲み込んでから変身する。


この丸薬、魔界のアイテムで一時的にパワーをブーストする物。


丸薬を飲んで変身した三人は、普段よりも凶悪な姿に変化していた。


「フラン、メイ、まずは魔界紋まかいもんアタックでちゅ!!」

アニーの言葉に、フランとメイが向き合い手を伸ばし足場を作る。


その足場に向けてアニーが跳び、フランとメイがアニーを打ち上げる。


跳び上がったアニーの眼前の空間に、黒い闇のエネルギーで描かれた

山羊の頭の紋章が浮き上がりアニーのパンチで紋章が射出される。


射出された紋章が、敵の群れに当たると敵が焼き尽くされて

紋章と同時に消滅した。


フランも両腕に電光を纏わせて、回転ラリアットやボディプレス。


メイは自分の足に激流を作り、波に乗った高速移動で敵を切り裂く。


アニーも口から雄たけびを上げると、敵が発火して蒸発した。


普段は、地域や住民に配慮してセーブしていた実力を発揮し

ここぞとばかり大暴れする3人は片付いたのを見ると動きを止めた。


「ふう、片付きまちた~♪」

アニーが呟く。


「・・・・・ホームは、業者の方でどうにかなるレベルですわね。」

メイが、周囲を確認するとかろうじて地下鉄のホームの形は保っていた。


「・・・・・私、配慮した。」

フランの呟きに


「ずるいでちゅ、一人だけ!!」

アニーが怒る。


「あざといですわ、フラン!!」

メイも抗議する。


「・・・・私、超良妻賢母でレディだから。殿下を追いかける。」

アニーとメイを無視しデーモンブリードを追うフラン。


それを追うアニー達、3人とも後でやり過ぎだと怒れたのだった。




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