第104話 汚泥ゾンビ計画

ヒーロー達との共同作戦で、吸血夜会の関東ダム破壊作戦は防がれた。


「とりあえず、上水道は守れたかな。」

変身を解き、自分が守ったダム湖の湖畔で疲労困憊で寝転がる進太郎。


「・・・・湖、綺麗♪」

そんな進太郎を膝枕するフラン、久しぶりの出番に大喜びだった。


一時の勝利を味わうヒーローサイド、テレビ番組ならハッピーエンド。


だが、敵は恐ろしい事件の準備を進めていた。


東京の地下に密かに作られた、吸血夜会中米支部のアジト。


そこにいるのは糸巻きを髪飾りにした、口の周りが黒い青白肌の美女。


彼女が纏う衣は世にもおぞましい、人皮の貫頭衣だった。


彼女こそアステカの夜の女神の名を持つ怪人、トラソルテオトルの変身した姿。


伝説の神は不浄を喰らい罪を許す地母神だが、彼女は悪鬼だった。


彼女がいる部屋は、石の寝台が並びその全てに捕らわれた人達の遺体が

心臓をえぐり取られた状態で拘束されていた。


「キヴァタテオのダム破壊作戦は囮、その隙に心臓は生贄に死体は下僕に。」

そう言って、トラソルテオトルは胸に穴が開いた人々の遺体に次々と黒い汚泥

を流し込んで行く。


その汚泥は、まるでスライムの如く広がり遺体を覆うと拘束を解いて起き上がる。


「まずは30体、次はもっと若い生贄を取りに行かないと。」

汚泥のゾンビ達をみやり、トラソルテオトルは邪悪な笑みを浮かべるのだった。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る