第102話 幕間:悪魔とバイクその2
・・・・・どうしてこうなった?
「バイクとか乗り物欲しいって話から、何で俺はハクスラをしてるんだ。」
進太郎は、アニー、フラン、メイ、リーファの五人パーティーで帝国内
にあるバイコーンがいるらしい山中のダンジョンに潜っていた。
何で山中にダンジョンがあるの?と進太郎がアニーに尋ねれば
「大昔の帝国の地下要塞が、長い年月の果てにダンジョン化でちゅね。」
とざっくりと解説してくれた。
更に魔界全体に、冒険者って公職があるらしいと故郷がまだまだファンタジーな
世界である事を知り俺の代で絶対にこの国を近代化してやると進太郎は誓った。
「殿下にふさわしいバイクという事で、素材から拘り自作するのだそうで。」
メイがポーションを飲みつつ答える。
「・・・・いや、確かに高い性能は欲しいが素材集めから自作って!!」
バイクってそんなんじゃないと、襲い来るエネミーを屠りながら叫ぶ。
「・・・・・殿下、苦労して掴み取った物の方が価値があるよ。」
フランが言葉だけはまともな事を言う。
人間としては、バイトとかしてと言う苦労であってダンジョン攻略は
想定されるものではないと思った。
進太郎のそんな思いを誰も知る由もなく、ダンジョンの最深部にたどり着く。
「トラップ解除しまちた!!」
アニーが扉の罠を破壊して無効化する。
そして迷宮の奥、玉座がある謁見の間という部屋にそれはいた。
頭に角を二本生やした赤い瞳に黒い肌の禍々しい馬、バイコーンだ。
ブヒヒヒヒ~ン♪
バイコーンの鳴き声に、アニー達は進太郎を守るように身構える。
「・・・・こいつ、牝馬でちゅっ!!」
「あの目、殿下を狙ってる!!」
「狙いはまさか、殿下のお種っ!!」
「馬は許容できません、旦那様は渡せませんわ!!」
バイコーンに自分達と同じものを感じた彼女達が、殺気立つ。
「・・・・・お前ら、ちょっと待て!!」
進太郎の制止を聞かず、4人娘とバイコーンが激しい戦闘を繰り広げる。
戦いの果てに、バイコーンは倒され捕獲された。
このバイコーン、言う通り牝だったようで進太郎が近付くと顔をべろべろ舐めてくるわ臀部を押し付けてくるわと積極的だった。
「バイコーン、一説には30代前の皇帝が戯れに馬に手を付けて誕生したとか?」
リーファが、帝国ガイドブックを取り出して読み上げる。
・・・・・・・否定しきれないと、進太郎は思った。
進太郎にだけは素直に従うバイコーンに、近親憎悪を掻き立てられたメイド達
とバイコーンが争うのを、進太郎が宥めて戻ってきた。
魔界の実家である宮殿に戻ってくると、ドンナーが出迎える。
「お帰りなさい♪合成マシーンの準備はできてるわ♪」
ドンナーの言葉に進太郎はもう、何も驚かなかった。
モトクロスで使われるオフロードバイクと、馬で引くタイプの戦車もある。
「このバイクと、バイコーンを合成して凄いマシーンを作るわ♪」
バイクから強化されたバイコーンに変形するらしい。
ドンナーの台詞に娘のフランが
「変形はロマン。」
と同意する。
合成マシーンがある場所は宮殿の地下だと案内される。
庭園の噴水前の地面が左右に開き、階段を下りていくとだだっ広い部屋の中に
巨大な大鍋にしか見えない物が鎮座していた。
「あの鍋が合成マシーンよ♪」
解説の言葉が耳に入らないくらい進太郎は呆れていた、人間世界の常識
の脆さを思い知らされていた。
そして、合成マシーンにバイコーンとバイクをフランがドボンと放り込む。
・・・・・・5分後、鍋から吐き出されるように進太郎のバイクとなる
『マシンバイコーン』が完成した。
見た目は漆黒のオフロードバイクだが、それは擬態で本質はモンスター。
バイク形態で、進太郎にじゃれる為に突っ込んで来られると
・・・・・ただの交通事故にしか見えなかった。
バイコーン形態は、全身が金属質になり胸と股に車輪が付いた禍々しい馬の怪物。
口や関節部、毛髪からから黒い炎を吐き出したりしたのはこれが武装らしい。
「理論上は、陸海空宇宙全部に適性があるわよ♪」
ドンナーが、ロボットゲームのユニット解説みたいな事をのたまう。
「・・・・・いや、宇宙とか行きたくないよ!!」
進太郎は思い切り嫌がるが、後に彼の願いは叶う事はなかった。
魔改造しすぎで、進太郎は考えることをやめた。
この後、進太郎には魔界で乗馬とジョスト等の馬上戦闘の訓練。
そして日本に戻った後、ヴィラン対策室と相談の末に進太郎ではなく
デーモンブリードとしての特別免許取得の為、学科とバイクの実技試験の為
運転免許試験場に泊まり込む事となるのであった。
マシンバイコーンと訓練の成果は、後に発揮される事となる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます