第99話 泣き女に死を

「吸血鬼のアジトが廃寺かよ。」

デーモンブリードが訪れたのは町はずれの廃寺、その名は寿満寺じゅまんじ

シンジが死亡した日に住職が怪死した後、つい最近尼僧が赴任したという。


再びリーファが変身したブルードラゴンと向かうデーモンブリード。


境内に入り込むと、本堂から頭巾に袈裟にと尼さんに見える女が現れる。

「あららら、当山に何か御用でしょうか?」


にこやかにほほ笑むがその瞳は怪しく金色に光っていた。


「御用じゃねえ、成敗だ!!」

尼僧に吼えるデーモンブリード、やる気である。


「ラ・ルロロナ、仏教の侮辱はおやめなさい!!」

リーファ、ブルードラゴンも怒る。


「そうね、私の神はテぺヨロトル様♪・・・・生贄になりなさい!!」

ラ・ルロロナが、袈裟を脱ぎはらい貫頭衣と巻きスカートの姿に変わる。


そして、その金の瞳から沸騰した血液を放水する!!


跳んで避けたデーモンブリード達、ジュワ~と音を立てて地面が溶けてえぐれ

寺の壁も崩れるの熱と酸の二重ダメージだ。


デーモンブリード達の反撃の上空からのダブルキックを、受け止め彼らを投げ返すと

膂力も並はずれていた。


「まだです!!旦那様、お力をお借りしますわ!!」

ブルードラゴンが、ベルトのゴングを鳴らすと

『カップリング!!デーモン&ドラゴン!!』

と電子音が鳴り響く。


「何をする気!!」

その様子に、ラ・ルロロナが叫ぶ!!


ブルードラゴンがデーモンブリードを抱きしめると、デーモンブリードの姿が

消えてブルードラゴンのスーツが黒くそして悪魔の如き姿に変化した!!


『・・・・な、何だこれ!!』

変身が解けた進太郎は、どこだかわからないが心地よい空間にいた。

「旦那様♪一時、取り込ませていただきます!!」


東洋の龍から西洋の竜の如き鎧を纏ったリーファ。

「ブルードラゴン改め、気高き慈愛魔竜、ダークドラゴン参ります!!」

背中から黒い翼を生やして飛ぶダークドラゴン。


ア~~~~~~~♪

美しく澄んだ声で彼女が歌詞のない歌を歌うと、ダークドラゴンの周囲に漆黒の

闇の球が群体で出現する。


「させるか!!」

ダークドラゴンに向け、血の砲撃を行うラ・ルロロナ。


だが、闇の球の群れがダークドラゴンの周囲を縦横無尽に動き回り

ラ・ルロロナの全ての攻撃を吸収した。

「・・・・ああ、愛しい♪私の中に旦那様がいるのを感じます♪

・・・・・・気持ち良いです♪私の中から闇が溢れて止まりません!!」


再びダークドラゴンが歌詞のない歌、今度は歓喜の歌を歌う。


すると、彼女の周囲の空間が開いて禍々しい八頭の黒い闇の龍が現れる。


それを見たラ・ルロロナは、恐怖感に襲われ尻餅をついた。


八頭の龍がダークドラゴンの足に集まり、ダークドラゴンの必殺キックが発動!!


空から大きな口を開けた一頭の巨大な暗黒の龍の頭が、ゆっくりと舞い降りて

ラ・ルロロナを喰らい顎を閉じてラ・ルロロナをこの世から消し去った。


周囲の町ごと削り取れる威力を、ラ・ルロロナのみに一点集中させたのは

ダークドラゴンの周囲への配慮だった。


暗黒の龍とラ・ルロロナが消えて荒れた境内に、ダークドラゴンが佇む。


ポンっと音を立てて、そのベルトから進太郎が排出されるとダークドラゴンは

ブルードラゴンへと戻った。


「終わりましたね、旦那様♪」

変身を解いたリーファが、進太郎に笑顔を見せる。


「・・・・・何なんだ、そのベルトは!!」

進太郎、リーファにビビって腰が抜けて座り込む。


ダークドラゴンの凶悪なパワーソースが自分だと自覚していなかった。


「はい♪このカップリングドライバーは、旦那様を取り込めるベルトなんです♪」

答えるリーファ。


「誰が作ったんだよそんなベルト!!」

進太郎、後ずさる。


「私のお父様の実家の台湾の財閥で開発した特製ですわ♪」

さらりとお嬢様発言するリーファ。


拠点に帰ってから彼女の父親の実家が龍王と呼ばれる、龍のニュータント達の王族で台湾を根城にしており表の稼業が財閥で彼女の父親自身はメキシコに婿に行った話を

聞かされた進太郎であった。













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