第22話 公開練習 超人ノック

その日の日曜日、進太郎は上下ジャージ姿に野球のグローブを手に装備して

野原にいた。


三メイドやゴート66世もいる。


フランは、無数の野球ボールが入った籠をゴート66世のそばに置く。

メイは、カメラで撮影の準備をする。


アニーは、飲み物にタオルに食事の用意にとマネージャーみたいだ。


彼らは何をしようとしているのか?

ゴート66世は、オリジナルの野球のユニフォームを着ている。


「さ~、公開練習じゃ♪進太郎を鍛えるに加えてヒーローも努力をしている

と世間の皆様にお伝えする大事なお仕事じゃよ♪」


カメラに向けてアピールするゴート66世。


ヘルグリム帝国、自分達の情報をあまり秘匿していないヒーローチームである。

公式ホームページにプロフィールや動画をアップ、動画サイトでチャンネルを持ち

番組を放送したりとぐぐれば情報が出るほど現代日本に馴染んでる。


「この特訓は、判断力、瞬発力、飛来物への恐怖心克服、足腰の鍛錬が目的です。」


撮影をフランに変わってもらいメイが原稿を読み上げる。

「後、諦めない心も鍛えるんじゃ♪・・・・・・前半はの。」

ゴート66世の言葉に疑問を感じる進太郎。


「・・・・・・後半は何するの?」

と、尋ねる。


「後半は変身してのノックじゃ、ヒーローのパワーを鍛えるんじゃよ♪」

山羊の角生やした髑髏がウインクする、目がないのに。


「それではデーモンブリード公開練習、超人ノックを開始します。」

メイの合図により始まった。


祖父が距離も方角もあちこちランダムに向けて打つ打球を

走る、跳ぶ、スライデングすると必死になって捕りに行く進太郎。


捕れなくても休まず飛んで来る球を、ひたすらに追いキャッチする。


二百球ほどノックを行ったら、撮影を止めてボール拾いと休憩である。


「・・・・・・お、終わった~~!!」

ガクッと倒れる進太郎をフランが受け止める。


クタクタになり抵抗できない進太郎を、メイド達が世話をする。

メイが着替えをさせ、アニーが弁当を食わせて最後にフランがゴキゴキと音を

立ててマッサージをしたりビリビリと進太郎に電気を流す。


前半の特訓は終了したのであったが、問題は後半だった。


デーモンブリードに変身した進太郎、ボールを打つのは変身したフランだ。


・・・・・・ズドン!!


フランが打ったボールは、衝撃波をまといまさしくレーザービームのごとく

デーモンブリードの胸に直撃し進太郎をノックダウンさせた。


気絶ですんだのは、鎧と化しているゴート66世のパワーのおかげであった。


急遽、デーモンブリードの変身を解除しフランが泣きながら電気ショックで

蘇生させる事態になり特訓は中止となった。


回復した進太郎は、ショックで落ち込んでいるフランを慰めることに奔走

したのであった。







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る