第19話  フランの笑顔とガーナの悪魔 中編

その週は、特に他所はどうであれ桃ノ島は平和だった。


ニュータントによる、銀行強盗とか密漁とかが起こるのが

レアなことなのである。


ヒーローの仕事よりも、狩猟や漁の手伝いとか工事の手伝いとか

畑仕事手伝ってくれやらおばあさんの話し相手になってくれとか万屋扱いだ。


フランは、パワーファイターでもあるがパソコンや機械や車両などに強い。

ネット上にある工業の大学の通信課程の学生でもある。


三メイドの中で唯一の女子大生。


そんな彼女は、パソコンや工具や機械の棚に囲まれた自室で白雪姫の如く眠っていた。


黒のおかっぱ頭に紫色の肌、頭部の横にネジと人外要素をのぞけば目鼻立ちの整った顔。

みずみずしい唇、メイド服の下はヘビー級の格闘家みたいな筋肉質の体に大きい胸とマニアックな美少女である。


変身するとドイツの騎士鎧みたいな、戦闘ロボっぽい姿になるとは思えない。


彼女はただ寝てるわけではない、電脳空間にダイブしているのである。


電脳空間の中はヨーロッパ風の城下町、ヘルグリム帝国の公式サイトである。


彼女は今日も変身した姿で、セキュリティソフトの軍団を率いる将として

パトロールしている。


敵であるウィルスや、ハッカー能力のあるニュータントなどから本国であるサイトを領土である各自のパソコンを守る鉄球将軍なのだ。


物理的にコンピューターウィルスを破壊できる彼女がいる限り、帝国はサイバー攻撃にも抜かりはない。


部隊を引き連れ、ウィルスを鉄球で粉砕して回る巨大な木馬も一撃粉砕だ。


本日の巡回を終えて、現実世界へと目覚めて起きる。

「・・・・・・明日は殿下とデート、楽しみ♪」


表情を変えないフランが、とびっきりの笑顔になる。


だが、彼女のデートにトラブルが起こる事を誰も予期していなかった。



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