デートと特訓と編

第17話 デンジャラス・デート

事件がない日曜日の桃ノ島は犬鳴町、複合商業施設ももぽ~と。


その一角にある東北カフェという店では、一組の男女が

ずんだソフトやずんだシェイクを味わっていた。


一人は、首には赤い首輪を着けて青と白と赤のトリコロールの

ブリティッシュなライダースジャケットと同色のホットパンツ

を履いている狼の耳と尻尾を生やした赤毛の人狼の女性。


何と言うか、歩くパンクなイギリス国旗である。


そんな彼女はモンスターメイドの一人、人狼のアニーだ。


もう一人は、運動部っぽい鍛えられた体をしたギャルゲーの

主人公顔の少年こと進太郎である。


こちらは、ポロシャツにカーゴパンツ。

リブ切り替えのフーデッドブルゾンとラフな服装であった。


「はい、殿下~♪あ~ん♪」


アニーが店内の席で向かい合いずんだソフトをスプーンで

掬い進太郎に食べさせようとする。


「あ~ん♪」

求めに応じて食べさせてもらう、進太郎。


進太郎、恋愛に関しては受身である。


傍目からするとコスプレした外人と日本人のカップルにしか見えない。

何故二人がデートをしているかと言うと、月齢が関係している。


満月の夜に狼男が変身したりテンションもパワーもアップする。

というのはアニーも同じで、暴走の危険がある。


暴走をどうするか?


結論は、エネルギーを発散させて威力を弱める事となった。


「ガス抜きが必要です、アニーに殿下を独り占めさせるは悔しいですけれど。」

メイがうるうると泣く。


「満月の夜のアニーは、デンジャラスな獣。」

フランも同意する。


「二人ともひどい~♪でも殿下を今日は独り占め~♪」

ハイハイテンションでキラキラの笑顔のアニー、尻尾をブンブン振っている。


そんな理由で、進太郎はメッチャはしゃいでる飼い犬に引きずられて

散歩に連れ出された飼い主状態でデートにやってきた。


向かい合っていたはずがいつの間にか、進太郎の隣にアニーが

回り込んでいてスマホでツーショット撮影をする。


そんな元気なアニーに進太郎も頬を染めて、ときめく。


そんな主人の感覚を察知したのかアニーが


「わうわう♪殿下がデレた~♪」


と言って抱きついて、進太郎のペロペロ顔を舐めてくる。

犬だったら、愛犬であるがアニーは狼で女の子である。


「・・・・デレてない!!ほら、ソフトもシェイクも残さず食べるぞ!!」

慌てて否定する進太郎、照れ隠しにずんだソフトを食べる。


「殿下~♪ずんだシェイクでちゅ~♪」

アニーがアンブッシュで自分が飲んでいる、ずんだシェイクの

ストローを進太郎の口に素早くセット!!


・・・・・・実に見事な、関節キッスであった。

ずんだシェイクをきちんと吸って飲む進太郎、ヒーローは食べ物を粗末にしない。


「ありのまま今起こった事を話すと、気が付いたら間接キスをしていた。」


照れて顔を横にそらした進太郎。


だがしかし、アニーに素早く回りこまれズギューンと言う

擬音と共にアニーと互いの唇を重ねていた。


ハイパーでクロックなアップな動きであった。


直接キスの後、進太郎の向きを正面に戻して再度食べさせ合い。


その後、アニーは進太郎をお姫様抱っこでレジ前まで運んで立たせる。


この間、わずか1ミリ秒でラブコメを行ったのだ。


会計を済ませてカフェを出た二人。


次はゲームセンターに行き、ロボットゲームで激突したり

レースゲームではバイクで爆走する。


因みにどのゲームも、アニーの勝利であった。


最後に寄ったのはバッティンググセンター。


アニーがバットを突き出して予告ホームランのポーズを取り

「ガンガン、行くよ~♪」


と言い、宣言どうり見事なスイングで打って行く。


「私が身も心も打たれるのは殿下だけ♪」


進太郎への愛を叫びながら、ホームランをかっ飛ばし続けたのであった。


「・・・・・・愛が恥ずかしい。」

進太郎は、アニーを見ながら赤面していた。


帰宅後、アニーが進太郎を自室に引きずり込みベッドに寝かせる。


そしてアニーがマウントポジションを取った時。


・・・・・・夜空に赤い満月が昇っていた。


「殿下~♪ここからが、私達のクライマックスでちゅよ~♪」


進太郎が

「くっ・・・・・殺せ!!」


と言いつつも抵抗を諦めた時、アニーはヤンデレな瞳で手足と

耳と尻尾が狼と言うデンジャラスな獣になって襲い掛かってきた。



























  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る