第11話 松山から来た少年 中編

刑を連れて帰った進太郎、だが刑は何故か怯えていた。

「・・・・・・殿下、この方はお友達ですか?」


他のメイド達は仕事中でいない。


何故かアニーも、やや真剣に尋ねる。

「そうだが、アニーはどうしたんだ?」

アニーに聞いてみる。


「ええ、事と次第によっては晩御飯は美味しい狸汁にしようかと。」

アニーが刑を見て顔だけ狼になった。


・・・・・・その顔は獲物を狙う獣の顔だった。


ちなみにアニーは料理が万能で、肉は狩って加工からできる腕前だ。

ちゃんと、調理師と猟銃と狩猟免許持ちである。


アニーが刑を睨んだその瞬間、刑がガタガタ震えて泣きだしたのである。

「・・・・・・ご、ごめんなさい、全て話しますから食べないで~!!」

刑の頭に狸の耳、尻からは狸の尻尾が生えた。


「・・・・・・あ、本当に狸だった。」

狼は狸を食べる、狸の天敵というのは人狼でも通じるようだ。


刑の事がかわいそうになったので進太郎は、アニーの背後

に回ってアニーを抱きしめ彼女の腹を撫でる。


一方、進太郎に抱きしめられ撫でられたアニーは一瞬で恋する乙女の顔になる。

クゥ~ン♪クゥ~ン♪と、犬のように鳴いて甘えだす。


「俺のお友達だから、ご飯にしないでね~後で思い切り可愛がるから♪」

優しくアニーを諭してキスをするとアニーは

「・・・・・・イエス、マイロード♪」

と返事をして厨房へと向かっていった。


「た、助かった~っ!!」

刑はへたりこんだ。


「さて、ではそっちの素性とか用件とか洗いざらい話してもらおうか?」

刑を見て問いかける進太郎。


「嘘つく、騙す、裏切る、罠にはめる、俺や周囲に危害を加えようと思うなよ?

本国から人狼の軍団を呼び寄せて君ら全員食い尽くすからな。」

刑に脅しをかける進太郎。


「わ、わかった!!そんなつもりはないけれど約束する!!

僕は人間とのハーフだから食べても美味しくないから!!」

刑がブンブンと頷く。


「僕の家は四国の狸の顔役の隠神刑部、僕らは悪さなんかしないよ。」

ビビリつつ素性から語りだす刑。


「僕達狸も、人間達と上手くやってるし日本を守ってる君達と同じだ。

僕達に力を貸してほしい、僕達も君達に協力するからお願いだ!!」

そして用件を叫ぶ刑。


「・・・・・・話は聞いた、助けてやるが良い進太郎。」

変身ベルトにもなる万能なおじいちゃん、ゴート66世が現れた。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る