第3話 皇太子の日曜日 後編
何故彼らは日本で暮らしているのだろうか?
戦隊から、バイク乗りのヒーローと続いてお菓子で戦う魔法少女を見つつ
一家団欒しているモンスター達。
事の起こりは2000年、日本に魔界のゲートが開かれたことから始まる。
現れたのは山羊の角を生やした髑髏頭の魔王、ヘルグリム帝国皇帝ゴート66世。
異世界からの侵略か?と世界が騒然となる中、魔王が求めたのは対話と友好だった。
・・・・・・この時、全世界が一斉にコケた。
後に、帝国側から比較的人間に近い容姿の大臣が訪れ日本政府との交渉を纏める。
国交の樹立や各種条約などを締結後、ゲートが開いた桃ノ島に大使館が出来た。
そして一人の少女が、ヘルグリム帝国から日本に留学してくる。
ゴート66世の娘、金髪のショートボブ、頭に小さな山羊の角を生やした美少女
は魔界皇女メルティと名乗り人狼と人造生命族と吸血鬼ではなく半魚人のお供を
率いてヒーローとして活躍。
同級生の少年、
婿に取り引退しデーモンブリードこと進太郎を出産。
進太郎が高校進学を機にアニー、メイ、フランを日本に送り込み
ヒーロー活動をさせ現在に至る。
進太郎は悪魔と人間のハーフなのである。
「俺自身、人間界育ちなのに魔界のプリンスってどうかな?」
そんなことを言う進太郎。
「何をおっしゃるのです、殿下は立派なプリンスで魔界と人間界の架け橋です♪」
メイは言う。
「・・・・・・魔界から、人間界に姫やプリンスが行くのは普通。」
フランが、マンガを取り出す。
魔界の王子が3匹のお供を率いて、人間界に来る漫画だ。
「他にも、魔界人が人間界で暮らすマンガもありまちゅよ~♪」
アニーが取り出したのは、吸血鬼と人狼のハーフ少女のラブコメ漫画。
「フィクションでの下地があった故、先帝は日本と友好を結んだのです。」
メイがまとめる、マンガが選定基準かよお祖父ちゃん!!
進太郎の心のツッコミに答えるように、ふわふわと山羊の角を生やした髑髏
のバックルのベルトがゆっくり飛んでリビングへやってくる。
「呼んだかの、可愛い孫よ?」
バックルが喋る、目が光る!!
でも、おもちゃ化しても売れそうにない!!
モンスター娘3人がベルトにお辞儀をする、このベルトが先代のヘルグリム帝国皇帝
ゴート66世が姿を変えたデーモンブリードの変身ベルト『魔王ドライバー』だ。
「・・・・・・おはよう、お祖父ちゃん。」
実の祖父が変身ベルトになるというシュールな状況には、諦めた進太郎であった。
「食事が済んだら、歯磨きと着替えをし電気やガスを消して戸締りをしてから
ヒーローとしてご近所のパトロールに行くのじゃ!!」
3メイドが「御意!!」と敬礼する。
そして魔王ドライバーの指示をこなして、全員でパトロールに出動。
悪魔風の鎧を着た男、赤毛の人狼、緑の半魚人、紫のドイツ甲冑が
商店街を練り歩くのはハロウィンのようだった。
異形のニュータントではあるが、彼らは地元民に好かれていた。
八百屋や総菜屋におまけしてもらえる悪魔が、かつていたであろうか?
先日襲われた銀行は工事が行われて、暫く不便になると張り紙がされていた。
「金は取り返したが、マイナスだよな。」
デーモンブリードがつぶやく。
「ニュータントへの風当たりも強くなりますね。」
メイが答える。
「・・・・・・私たちは、頑張るだけ。」
フランが、工事用のシートで覆われた銀行を見て言う。
「殿下なら、ニュータントと一般人との架け橋にもなれますよ。」
アニーが真面目に言う、彼女は真面目な時は赤ちゃん言葉は使わない。
ヘルグリム帝国の面々が、ヒーロー活動を頑張ろうと決意し家に帰る。
そしてその夜、進太郎はモンスター娘3人に絞られたのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます