10.瓶のコンポジション

ジョルジョ・モランディの瓶たち

ぼくらもまたその瓶たちだ


テーブルの上で肩を寄せ並ぶ

輪郭と輪郭の

わずかな隙間をはしる影は

深淵である

速やかでない気流


影ばかりでない

色彩は一見質素だが

起伏して波打つガラスを通して

来る景色のように揺らいでいる

揺らぐガラスは気流として

画面全体を漂っている


瓶たちの絵は1枚や2枚で留まらない

複数の瓶たちの絵のうちに

おなじ瓶が再配置されて現れている

絵の微妙な気流が1枚の絵に空気を印象させ

空間と時間を演出するように

瓶たちのコンポジションが

絵から絵へ渡って時間を演出している


ぼくらもまたそうして空間し

そのように時間している

1枚の私から別の私という1枚へ

私のコンポジションから

私のコンポジションへと渡っていく

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