第18話 二分の一成人式①

 ある日の総合の時間、担任の先生の話が始まった。


「さてみなさん、2月の授業参観の日に、『二分の一成人式』というのをやります。まずはどんなことをやるのかを説明しますねー。このプリントを後ろに回してください」



第一部


1.はじめの言葉(児童代表)

2.児童による発表 「ぼくのゆめ、わたしのゆめ」

3.グループによる発表 「十年前、今、十年後」

4.合唱


第二部


1.はじめの言葉(保護者代表)

2.写真によるスライドショー 「こんなに成長しました」

3.手紙の交換  子供から保護者へ

         保護者から子供へ

4.記念品の贈呈

5.おわりの言葉



「はーい、では説明しますね、第一部まずは1番、はじめの言葉ですね。これは委員長の相川君、お願いしますねー。では2番、ぼくのゆめ、わたしのゆめ、これは全員作文を書いてもらって、みんなの前で発表してもらいまーす。」


「えーっ!」 という歓声が一斉に湧き上がった。


「はいはい、静かに。そして3番、これは3つの班に分けてグループで調べ学習をして、発表してもらいます。そして4番は合唱です。もちろん、『世界に一つだけの花』を歌います」


 すでに七海の気持ちは沈んでいた。


「はい、では二部の1番、はじめの言葉はPTAの役員さんにやっていただきます。2番の写真によるスライドショーは写真がいりまーす。みなさんが赤ちゃんのときの写真とか、幼稚園や保育園のときの写真とかを持ってきてくださいねー」


「えーっ!」 

「恥ずかしーっ!」 などの声が一斉に上がった。


「そして3番、手紙の交換ですが、みんなは授業中に書いてもらいます。そのときにまた説明しますけど、主にお父さんお母さんへの感謝の言葉を書きます。そして、お父さんお母さんにも手紙を書いてもらいます。そのお知らせが入った封筒を今から配りますから、絶対に開けてはダメですよー。必ずこのまま保護者の方に渡してくださいね!」


 さらに七海の気持ちはどん底まで沈んだ。写真? お父さん?


「そして4番、記念品は先生からですから私が用意しますね。最後のおわりの言葉は、副委員長の山本さん、お願いしますね。さて、何か質問はありますかー?」


 七海は泣き出しそうになった。

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