第17話 音楽の時間

 七海は、音楽の時間はけっこう好きだった。歌うことも好きだったし、リコーダーを吹くことも、カスタネットやトライアングルを叩くことも好きだった。授業を聞くだけでもなく、黒板をノートに写すだけでもなく、計算もしなくてよい、一心不乱に声を出したり、楽器を演奏したりすることは楽しかった。


 ある日、音楽の教科書とは離れて、合唱でJ-POPを歌うことになった。先生の提案により、SMAPの『世界に一つだけの花』に決まった。


 七海はこの曲があまり好きではなかった。

 

 すごくいいことが歌われているのは何となくわかるのだが、なんかしっくりこないのだ。何より自分の境遇にはまったくあてはまらないような気がするのだった。

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