第14話 買い物①

「ねえ、ママ…… ママ……」 


 七海はゆすって起こしてみた。


「何よっ! まだ8時半じゃないのっ!」


「ママが8時半って……」


「もうっ! そこのバッグ取ってっ!」

 

 七海は派手なバッグを手渡した。


「ほらっ! 1万円あげるから、好きなもの買ってきなさいっ」


 七海はおそるおそる受け取った。


「ドンキが安いから、あそこに行きなさいっ、よく考えて買うのよっ!」


 と矢継ぎ早に言い放ち、母親は寝てしまった。


 七海は仕方なく、1万円を首からかける財布に入れ、それをかけてスウェットの中に隠し、カギを持ってサンダルを履き、そっと家から出た。


 ドンキに着くと、以前母親と一緒に来た時のことを思い出し、まずはカートに買い物かごを乗せた。


「えっと、何を買ってたっけ……」


 まずは米だ。米さえあれば何とかなる。七海は一番安い5キロの米をかごに入れた。次はラーメンだ。ラーメンはよく安売りしている。カップ麺は高いから、袋に入ったものだ。安い5食入りのものを2つかごに入れた。


「次は、シーチキンかなぁ」


 運よく、シーチキンも安売りの山積み状態だった。


「3個で298円かぁ……」

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