第11話 朝食
「朝ごはん最後に食べたのいつだったかなぁ」
七海はつぶやいてみた。
確か小学校1年が最後だ。1年生の最初の頃は母親もさすがに朝起きて、パンを焼いてくれて、食べてから遅刻しないように送り出してくれた。1年生の最初は給食もなく、午前中で学校が終わるので、七海が帰ると昼食がおいてあった。夕方の出勤前に母親は帰ってきて、洗濯物の取り込み方を教えてくれて、しばらくは一緒に取り込んでいた。そして晩ごはんを作ってくれて、皿に盛りラップをかけて、食べるときにチンするのよと教えてもらった。
しばらくすると、母親は朝起きなくなった。帰りの時間がどんどん遅くなっていたからだった。朝でも寝息が酒臭かった。
何時に起きているのかは知らなかったが、起きて洗濯をして、パチンコ屋の開店時間に間に合うように家を出ているはずだった。
一度起こそうと試みたことがあった。
「ねえ、ママ、ママ、朝ごはん……」
「なによもうっ、自分でしなさいっ! パンぐらい焼けるでしょっ!」
しばらく経つと、そのパンさえ置いていることがなくなってきた。そしてまた、七海も起きるとすぐ学校に行かないと間に合わないことが多くなってきたので、いつのまにか朝食をとらないことが多くなっていった。
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