第3話 そろばん
小学2年生になったとき、仲良くなった遥香ちゃんに、ある日そろばんを一緒に習いに行こうと誘われた七海は、期待に胸をふくらませ嬉しそうに、その日はたまたま、まだ家にいた母親に言った。
「ねえママ、遥香ちゃんといっしょにそろばん行きたい!」
「はぁ~あんたバッカじゃないの? 今はねぇ、電卓があるのよっ! そんなもんムダムダっ! そんな金どこにあるのよっ!」
七海のなかにあったほんのわずかな希望は、一瞬にして後悔へとその姿を変えた。
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