第2話


帰ってくると家の前には5人程人がいた。

皆んな彼女がどうだったのかを聞いてくる。

元気だったよって言うと安心した様にそれぞれ自分の家に帰って行く。

彼女は倒れる前まで近所の娘達に裁縫を教えていた。

自分が裁縫が得意ということもあり、毎週日曜日に家に招き入れ教えていた。

教え子達も僕と同じ様に彼女が心配なんだ。

そう思うと、どれ程彼女が必要とされているのかが分かる。

全員帰ったこと思ったらまだ1人僕の方を見ている子がいた。

「どうした⁇」

「えっと…病院にお見舞い行きたいんですけど。良いですか⁇」

僕はその言葉がとても嬉しかった。

確かこの子は教え子の中でも1番最初に教え始めた子だったはずだ。

彼女からこの子の話をよく聞いていた。

そんな教え子がお見舞いに来てくれたらきっと彼女が元気になると思った。

「勿論だよ‼︎」

僕がそう答えると嬉しそうに帰って行った。

その嬉しそうな横顔が誰かに似てると思った。

誰だったっけなぁ…。

考えながら家の中に入った。

でも結局分からないまま眠りに就いた。


ピンポーン

家の中に響くインターホンの音で目を覚ました。

時間を確認するとまだ朝の9時だった。

目を擦りながら玄関に行ってドアを開けた。

「はーい」

そこにいたのは昨日お見舞いに来てくれると言っていた子だ。

「あの、朝からごめんなさい‼︎ 早く先生のお見舞いに行きたくて…」

「あぁ、分かったよ。準備するからちょっと待っててくれないかな」

そう言った後に外で立たせて待たせるのは何だか悪いなと思って

「中で…座って待つかい⁇」

そう聞いた。

その子はありがとうございます、とお礼を言って中に入った。

やっぱりこの子の笑顔が誰かに似ていた。

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