第21話

 あれから数日後、事件は起きた――


「一年三組の小河春香さん、一年三組の小河春香さん、職員室まで来て下さい」

 珍しい。放送で彼女が呼ばれるなんて……

 後で理由でも聞いてみるか――


「ふ、不純異性交遊……?」

 衝撃の言葉が彼女から告げられる。

 いやいや、さすがに嘘でしょそんなの。


「なんか、こないだのセンパイとのお買い物を見た人が居たらしくて」

 まあ、近場だしうちの学生が居てもおかしくないからなぁ……


「で、センパイの影が薄すぎるのでうちの学生だと気がつかれなかったらしいです」


「は?」


「だから私が他校の男子と良からぬことをしてるんじゃないかとか聞かれましたよ。まったく……」


「それ僕のせい?!いや、確かに影というか存在は薄いけど……」


「はい、センパイがもっとイケメンで陽キャなら分かってくれたと思います」

 心に刺さる。これでも陽キャになろうと努力はしたのだ。努力は。


「とりあえず、不純異性交遊の事実はないと伝えましたがもう少し押しが必要かもしれませんね」


「確かになぁ……信じられる証拠が欲しいよな」




「なので、私と付き合ってください」

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