第17話

 ――大変な目に遭った。

 春香ちゃんの周りにいると苦労が絶えない。


「いくらあの人が悪くても殴るのはダメだよ」と僕。


「正当防衛ですっ」

 こういう少し頑固な所もかわいい。が、


「あの人まだ手は出してなかったと思うんだけど」


「むぅ〜……」


「でもセンパイのことああいう風に言う人なので、そのうち手は出してたと思いますっ」

 まだ言うか。嬉しいけど。


「僕のためでもダメ。もしそれで相手が逆ギレして春香ちゃんに傷つけたりしたら、それこそ僕が迷惑する」


「分かりました。そういうことなら仕方ないです……」

 やっと理解してくれたらしい。



「ところで今日は何を買いに来たの?」

 駅前で待ち合わせしたのは駅の近くに大型ショッピングモールがあるからなのだが……

 彼女が何を買いにきたのか一切聞いていなかった。


「とりあえず服と下着、それに雑貨と本です♪」


 ……待て、いま何か気になる2文字が聞こえたぞ。


「下着は付き合えないぞ?」

 僕がそんな秘密の園に入れる訳がない。主にモラルとかそういうアレで。


「何言ってるんですか?センパイの好みを選んでもらわないと――」


「選びません」

 きっぱりと言う。そういう趣味はない(はず)。


「センパイのケチ。選んでくれたって良いじゃないですか〜」

 とか言っていると専門店街のフロアに着いていた。


 女の子の買い物は長いと聞く。それを覚悟した上で臨むのであった……

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