第14話

 桜も散り緑の匂いがし始めた頃、相も変わらず僕たちは生徒会室でなんともいえない時間を過ごしていた。

 ん?僕は何しに生徒会室に来てるんだっけ……


 ある日、いつものように帰ろうとしている生徒会長に話しかけた。

「他の役員は生徒会に来ずに何してるんですか?」と


 しばしの沈黙。そして口にしたのは衝撃の事実だった。



「他の役員?それなら来ないぞ」

 はい?


「何を驚いてるんだ?君を会計に任命する時、”見かけ倒し”と言ったことは覚えているか?」


「ええ、もちろん」


「あれは少し言葉が悪かった。実際は名義貸しのようなものだ」

 ……?


「会計以外の仕事は基本的に私がすべてやっていると言っているのだよ」


「はい?」

 この人何言ってるんだ?いくらなんでも――


「まあ信じられないのも仕方ない。実際に役員の奴が来てないのに生徒会運営がうまくできているのが証拠と思ってくれ」

 いくらなんでも有り余る才能すぎるだろ……これ他に生かせないのかよこの人。


「おかげで学校をある程度思いのまま動かせるぞ。楽しいから君もやってみるかい?」

 悪魔のような笑みを浮かべながら僕に言いよってくる会長。それを見てなぜか不機嫌になる春香ちゃんを横目に、


「僕はそういうのは向いてないんで」ときっぱり断った。

 会長は残念そうにしていたが、春香ちゃんがなぜか嬉しそうにしているのを見てほっとしている自分がそこにはいた……

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