第13話

「――と、春香ちゃんのおかげで散々な目にあったよ」

 ここ数日のことの顛末を話す。


「それはそれは災難でしたねセンパイ」

 どこか他人事のような彼女。いや当事者なんだけど。


「で、そっちはどうだった?」


「誰もその話題を振ってくれませんでした……」

 そりゃそうだ。猫かぶってるし美少女だもんな。


「センパイは私と噂になるの嫌ですか?」

 ……いきなり答え辛いことを聞くなこの子。


「いや、僕は大丈夫だけど春香ちゃんは迷惑じゃないの?」と質問を質問で返す。


「なんで迷惑なんですか?」


「なんでって……いきなり男と、それもパッとしない奴と付き合ってるって噂になるんだよ?」


「ちょっとよく分かんないです」

 バカなの?実はバカなのこの子?


「それでセンパイに嫌な思いをさせたなら謝罪します。申し訳ありませんでした」


「……? 別に嫌じゃないけど誤解されるのはどちらにとっても良いことじゃないでしょ?」この子何考えてるのかわかんないぞ。


「…… センパイなんか知りません。」


 と言い残し、終始不機嫌だった。僕なんかしたかなぁ……

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