第12話

 視線が痛い。なんかしたっけ僕……

 と考えながら教室まで歩く。陰キャオタクなので視線に慣れていないのも堪えた。


 がららっ


 教室のドアを開け、無言で席に座る。心なしかクラスメイトも僕を見ている気がした。


「おはようさん!聞いたか?お前の噂」

 重い空気を変えたのは耀司だった。さすが我が友である。


「噂ってなんだよ」


「お前あの小河さんと仲良いんだって?」


「まあ生徒会で一緒だから……」


「聞いたところによるとお前と話してる時は楽しそうだったらしくてな、もしかして付き合ってるんじゃないかと」名前で呼んでいるのはまだバレてないらしい。


「ねーよ。俺がオタクなの忘れたか? てか相手はあの美少女だぞ」


「だよなぁ。お前に限ってそんなことあるわけないよな」なんかスッキリしないが納得してくれたらしい。


「でも駅前で少し喋ったかな」

 うっかり漏らす。


「はぁ???」クラスメイトも突っ込んでいた。聞き耳立てるのもいい加減にして欲しいものだ。


「小河さんとは生徒会で仲良くなっただけだよ。したのも世間話だし」

 ––当たり障りのないことを言ったつもりだったが、この後数日は質問攻めにあうことになった……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る